検証MacOS8.5

使ってみて初めて分かった8.5使用レポート

10月17日に華々しくデビューを飾ったMac OS 8.5は、米Apple社のスティーブ・ ジョブズ暫定CEOが「Must-have Upgrade」(必須アップグレード)と呼ぶほど、魅力的なOSに仕上がっています。OSとしては初めて世界同時発売という快挙も成し遂げ、日本国内だけでも最初の1週間で5万本近く出荷されたそうです。本コーナー では、実際に8.5を使ってみて気付いたインプレッションを述べたいと思います。


スピードと安定性、そしてインテリジェンスが8.5のウリ
 ジョブズ氏が「Mac OSこそがAppleの資産である」と声高々に宣言したのは、昨年8月のMACWORLDEXPO/BOSTONでのこと。それ以来、8.0、8.1、8.5と3回のバージョンアップを行い、成熟度は増す一方です。8.5は「かゆいところに手が届く」という表現がピッタリのOSで、ソフトを評価するときに使う言葉「ルック&フィール」(外観と操作性)に当てはめれば、より「フィール」の部分を強化した製品といえるでしょう。

 その「フィール」は、未来標準を見据えて確実にチューンアップが施されています。例えばネットワーク転送速度の向上。 来るべき100Base-TX時代に備えて、ネットワークを介したデータのコピー速度が著しくアップし、Macが「スタンドアローン」から「ワークグループ」マシンへと進化していくための条件がそろったという感じです。「AppleScript」も従来の5倍近い処理速度を実現し、自動化がますます身近なものとなりました。実際にどこまでユーザに浸透するのか興味深い ところです。

 ほかにも、上下左右のスクロールアローをウインドウ右下にまとめて直感的な操作が可能な「スマートスクロール」、画面右上のアプリケーションメニューを切り離してパレットとして使える「アプリケーション切り替えウインドウ」などが使ってみて便利だと思いました。

 シンプルなデスクトップを好む筆者に とって、見た目を変えられる「アピアランス」はそれほど魅力的な機能ではありません。ただ家族でiMacを使うといった環境では、派手な画面や60種類以上の効果音は 子供にウケることは間違いないでしょう。OSの機能や使い勝手を開発者側が ユーザに一方的に押しつけるのではなく、ユーザが好みに合わせてインターフェースを自分流にカスタマイズできる――パソコンが進化していく過程では不可欠な要素で、8.5はそれを見事に実現しています。

 全体的にレスポンス(反応)が速く なったと8.5のユーザは話していますが、筆者が使っているPerforma 5220では、逆に動作がぎこちなくなったという印象を受けます。PowerPCへのネイティブ化率が上がり安定度も増したそうですが、 自分のマシンに関してはそれがまだ実証できていません。PowerPC G3搭載機以外では、8.5の真の恩恵は受けられないのかもしれません。安定度に関しては、サードパーティー製ソフトの対応の問題も考えられます。ソフト購入前に必ずメーカーに確認したほうがいいでしょう。

 スピードと安定性以外にもうひとつ特徴を挙げるとすれば、操作性にも関わることですが、8.5はこれまでになく「知的」であるということ。アップルコンピュータの担当者が「知能を持ったOS」と豪語 するほど「賢く」なっているのは事実です。その代表例が新検索機能の「Sherock」。名探偵シャーロック・ホームズにちなんで名付けられたこの機能は、「言語解析 アーキテクチャー」技術により、自然な 文章を検索のキーワードとして使えるという特徴を持っています。ただし、検索対象となるボリュームは常に索引を更新しなければ意味がありません。前号でも述べましたが、初めて索引を作る場合は数時間もかかりイライラ状態でした。

 Mac OS 8.xの機能は、来年登場する新世代OS、「Mac OS X」へと引き継がれていきます。「未来を知る」という意味では、8.5へのアップグレードはまさに 「Must-have」といえるでしょう。

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