特集:Mac OS X 大胆予測
あなたのMacがこう変わる!

Xがもたらすメリットとは?
最強のOSとしての魅力
他に類を見ない
ユニークな構造
 前ページで述べたとおり、Modern OSと呼ばれるための機能は、メモリ保護とマルチタスクの2つに集約されるといっても過言ではない。つまり、真の安定性とスピードを兼ね備えたOSということになる。Windows NTなどでは5年以上も前に実現できていたもの だが、Appleは旧機種へのこだわりから、これらの機能を搭載することに長い間躊躇してきた。
 Xのこうした機能はコアOS、つまりUNIXによってサポートされている。正確には「Mach」(マークと発音する)と呼ばれるOSで、米カーネギーメロン大学で15年以上も前に開発されたものだ。Xを構造的に見ると実に面白い。コアOSの上には、画面描画を担うExtended QuickDraw、コピー&ペーストなどFinderの機能を含む「共通サービス」があり、その上には「Blue Box」「Yellow Box」「Java」「Carbon APIセット」の4つの機能が載っている。
 Blue BoxはRhapsodyで採用された機能のひとつで、8.x用ソフトを動かすことができる。つまり、マシンにXをインストールした場合、従来のソフトも使えるというわけだ。これはMac上でWindows用ソフトを動かす「Virtual PC」や「SoftWindows」といったエミュレーションソフトが持つ機能に、ある意味では似ている。ただし、BlueBox内で動いている8.x用ソフトは、XのModern OSの機能の恩恵は受けられない。Blue Boxがクラッシュしてしまえば、ソフトそのものも動かなくなるからだ。なお、Blue BoxはRhapsodyのものと区別するために、Appleでは正式には「Blue環境」と呼んでいる。
 Yellow Boxは、X上でModern OS機能に対応したソフトを動かすためのAPIセットを備えており、これもRhapsodyから受け継いだものだ。実はこのYellow Boxがソフト移植の壁となった原因で、多くの開発者を苦しめた。厄介者であるにも関わらず、なぜXに残されているのだろうか? それは、Modern OSのもうひとつの特徴でもあるオブジェクト指向環境を持っているからだ。Yellow Boxには、ソフトに共通の機能(ウインドウを開いたりファイルを保存するといったもの)をオブジェクト(一種の部品)として用意しており、これらを流用することで拡張性の高いソフトを開発することができる。Windowsに対応したYellow Boxもリリースが予定されており、開発者が興味を示せば、マルチプラットフォーム化が実現する可能性もあり得る。
 Yellow Boxの素晴らしさは認めるが、やはりソフトベンダーは製品を短いサイクルで開発しなければサバイバルできない。それを可能にしたのが「Carbon」だ。詳細は専門誌に譲るが、Carbonを搭載することで、従来とほとんど変わらない環境でソフトを作ることができ、移植も1〜2ヵ月で済む。これまで1〜2年かかるといわれていたことに比べると大変な進歩だ。5月にサンノゼで行われた開発者会議WWDC(Worldwide Developers Conference)では、Carbonに対応した「AppleWorks」(旧ClarisWorks)と「Adobe Photoshop」のデモが行われ注目を浴びた。どちらも数人のプログラマーが2〜3週間でCarbon用に作り直したというから驚きだ。 かなり期待できそうだ。


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