ついに登場した「FireWire」搭載Mac
その魅力と将来性を探る
Fire Wire 年初めのサンフランシスコEXPOで話題をさらった新Power Macintosh G3。その先進性のひとつとして、インターフェイスの新しい規格であるUSBとFireWireの採用がある。USBはiMacでおなじみに なっているが、FireWireとはどんなものなのか?ひとことで言ってしまえば、家電製品と同じレベルで様々な機器と接続が可能になる、シンプルかつ高速な未来派接続ジャックだ。今回はその魅力を探ってみよう。
 デジタルAVの世界では既に普及が始まっている「FireWire」。FireWireとは、米Apple Computer社が考案し、IEEE(アイ・トリ プル・イー。米国電気電子技術者協会)の1394ワーキンググループによって開発されたシリアルインターフェイスだ。従って、正式な規格名は「IEEE1394」で、FireWireはこのIEEE1394インターフェイスを米Apple Computer社が自社製品に実装した際の名称。ちなみにすでにSonyがVAIO(PCV-S710など)にIEEE1394インターフェイスを搭載しているが、そちらはi.Linkという名称である。
 ところで、シリアルインターフェイスは従来、あまりデータ伝送速度を厳しく問われない周辺機器(モデムやTA、デジタルカメラなど)とコンピュータとの接続に使われてきた。しかし、IEEE1394はシリアルインターフェイスながら、100Mbps、200Mbps、400Mbpsと高速なデータ伝送を実現している(たとえば代表的なシリアルインターフェイスであるRS-232Cの最大データ伝送速度が115.2kbpsであることを考えれば、驚異的なスピードであることがおわかりいただけるだろう)。
 また音声や動画といった、安定した速度を求められるデータの伝送に適したイソクロナス(同期)転送をサポートしている など、コンピュータをAV観賞、制作などに用いるためのインターフェイスとして、大きな期待が寄せられている。
 実際、新Power Mac G3登場以前から、MacintoshのPCIバスに装着するIEEE1394インターフェイス採用のビデオキャプチャーボードやデスクトップビデオ編集システムなどは販売されていたし、またSonyなどから、このインターフェイスを採用したデジタルビデオカメラがリリースされているなど、デジタルAVの世界ではひと足早く普及が始まっている。当然、これらのIEEE1394規格を採用したデジタルAV機器はFireWireを搭載したMacintoshと接続することが可能だから(AV機器の多くはG3の6芯と違い4芯のポートを使用しているため)、今後これまで以上にMacintoshをデジタルAV編集ステーションとして用いられることが増えてくると思われる。

取り扱いが容易な点から
他の周辺機器への応用も期待

 加えて、サイズが小さくネジが不要なコネクタの採用、従来ハードディスクなど外部記憶装置やスキャナなどの接続に使われていたSCSIのような各周辺機器のID番号の設定が不要、コンピュータの電源が入った状態で各装置の抜き差しや自動認識が可能、最大63台までの装置が接続能など扱いが容易な点から、ハードディスクやCD-Rドライブなど外部記憶装置はもちろん、スキャナやプリンタなど様々な周辺機器への応用も期待できる。外部記憶装置としては、データ伝送速度こそ現在最速のUltra2/WIDE SCSI規格ハードディスク(640Mbps)には適合しないが、現在ごく一般的なハードディスクであるSCSI2(160Mbps)やUltra ATA(IDEの拡張仕様。264Mbps)と比べれば、伝送速度、取り扱いともに優れている。すでに外部記憶装置を筆頭に、各メーカーからFireWireに対応した各種周辺機器の発売、開発開始の発表も少なくない。またたとえばハイエンドスキャナを販売しているAgfa社など、DTP/プリプレス業界向け周辺機器メーカーが積極的にFireWire対応を促進するとも報じられている(MacWeek Online 1999年2月1日付けなど)。
 ただし、この規格の特許権を持つ米Apple Computer社FireWireを採用するメーカーに対し、ポート単位でライセンス料を徴すると発表しているのが少々気になるところだ。しかしこれだけ便利な機能なのだから、ぜひ業界全体に普及してもらいたいものである。そうなれば、メーカーや機器の種類を問わずに使えるわけで、Macの存在がますます生活の中に浸透してくることだろう。

                 (text by: 前田寿一)

トップに戻る