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十二の巻 スタジオジブリ編

今回の探検隊は、アニメーションの世界ではカリスマ的な存在である、あのスタジオジブリである。昨年、『もののけ姫で』日本ばかりでなく世界中で多くの子供達と大人達をくぎづけにしたのが記憶に新しいところだ。作画の美しさでは定評のあるジブリが、今、アニメーションの制作をフルデジタル化に移行したというニュースが編集部に入ったのは昨年の事。これは探検に出かけなくては、とリンククラブ会員にも探検隊募集をかけたところ、編集部はじまって以来の記録的な応募が! そして厳選な抽選によって選ばれた幸運な3名とともに、スタジオジブリのある東小金井に向かったのであった。

スタジオジブリ、フルデジタル化の真相とは?
 東京とは言え、さすがに武蔵野のおもかげが残るこのあたり、樹木も多く空も広い。なんとなくほっとするような静かな住宅街の中を歩いていくと、アトリウムの様な雰囲気の小さなビルにたどり着く。これがスタジオジブリである。まず玄関から通されたのは、街角のコーヒーショップみたいに見える明るい部屋。バーカウンターといい、複数置かれた木のテーブルと椅子といい、とてもアニメーション制作会社の内部とは思えない雰囲気である。ここで今回の案内をしてくださる広報担当の山本珠実さんと制作部主任の望月雄一郎さんに、コーヒーをいただきながら、アニメーションができあがるまでの全体の流れを説明していただいた。
 「企画は大抵、プロデューサーと監督の立ち話で決まります。その後、高畑(高畑勲監督)はまず脚本を書き、宮崎(宮崎駿監督)の場合はすぐに絵コンテを描き始めてしまいます。絵コンテというのは、映画の設計図のようなもので、カットごとの 画面構成を絵にして作業上必要な指示などが書き込まれたものです。それを元に背景を担当する<美術>と作画を担当する<アニメーター>に分かれ、同時進行で制作を進めていくわけです。その後、セルに色を塗る<仕上>があり、そのセルと背景を合わせて撮影し、フィルムにします。別のスタジオで音を入れると完成。大雑把に言うとこんな感じです。

 ここで編集部から、フルデジタル化に移行したという噂の真相について聞いてみた。以前だと、アニメーションというのは透明なセルに絵を転写して、絵の具で裏から彩色するという作業を行っていたわけだが、実はその材料であるセルが国内で製造中止になってしまった。メーカー側で採算が取れないというのがその理由らしい。海外からの輸入という手もあるのだが、品質にこだわるジブリとしては、技術の進歩状況も検討した上、全てデジタルに移行するという決断を下したのだと言う。現在は<アニメーター>が描いた絵をスキャナーで取り込み、コンピュータ上で彩色。また背景も手で描いた絵をデジタルカメラで撮影し、これを合成して編集に出すという。CGなどを使うシーンを除けば、<仕上>以降は完全にデジタル上で作業しているそうだ。
「<仕上>はデジタル化のために新しいスタッフを加えたわけでなく、今までいたスタッフが絵筆をマウスに持ち変えて、そのままコンピュータを使うようになったんです。『もののけ姫』まではセルを使って制作していましたが、これが終了した時点で、スタッフはコンピュータの練習に入り、 システムから具体的な使い方まで一から訓練して覚えました。ずいぶん勝手が違うので試行錯誤を重ねたそうです。また、絵筆で彩色する作業は、職人的な技が必要だったから緊張感があったけれど、これをデジタルにしたことで達成感の感じが変わったという話も聞きました。ただ、絵の具を乾かす、などの工程がなくなりましたので、スピードは格段に上がったそうです。」と、山本さん。

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