G4  Macintoshは、15年前の誕生からユーザとの接点であるOSのインターフェースデザインこそ大きな変化はないが、ハードウェア的な側面だけに目を向ければ、たとえばパーソナルコンピュータとしては初のRISCチップ採用(PowerPC)など、何度かドラスティックな変貌を遂げている。
 そうした辺りもまた、Macintoshというコンピュータの面白さだと思うが、今年8月、サンフランシスコで行われたSeybold Seminarsの基調講演で発表された(そして日本では、9月に行われたWorld PC Expoでお目見えした)Power Mac G4も、ただ単に“より処理速度の速いCPUを搭載した”というアップグレードには収まらない、全く新しいMacintoshの誕生だと言えよう。
 といっても、PowerPC G4は、クロック周波数だけを見れば400、450、500MHzと、いわゆる新G3と比べてそれほど大きな違いはない。また、その他のスペックを比較しても(カッコ内に新G3のスペックを示す)、メモリ(SDRAM)を最大1.5GBまで増設可能(1GBまで)、1MBのバックサイド二次キャッシュ(同容量)、内蔵ハードディスクがUltra ATA 10〜27GB(6〜12GB)など、若干数値が上っただけのようにも見える。むろん、G4にはUSB、FireWireといった新しいテクノロジーが採用されているが、これもすでに新G3から搭載されているものだ。スペック的な新味としては、ワイヤレスネットワークを実現するAirPortの搭載や、一部モデルのDVD-RAM搭載くらいか。スタイル的にも、色がグレーに変っただけで、基本的には新G3と同様である。
 では、G4のなにが新しいのかといえば、そのCPUが全く新しい発想によって作られているということに尽きる。今までパーソナルコンピュータのCPUといえば、32bitもしくは64bit単位でのデータ処理が当然であり、ワープロや表計算を個人が使うならともかく、ビデオ編集や3Dグラフィックス、あるいは科学技術研究といった膨大な演算処理を必要とする分野では、いささか力が足りないとされていた。そこで、専用のコンピュータルームを独占する、いわゆるスーパーコンピュータが、そうした分野で使われることも多かったわけだが、PowerPC G4では、The Velocity Engineという技術の採用により、なんとそのスーパーコンピュータの処理性能に匹敵する128bit単位での計算が可能になったのだ。
 少し専門的にいえば、浮動小数点演算を1秒間に10億回行うことができるということになるAppleComputerでは、IntelのWebサイトに掲載されている速度テストをG4で行ったところ、500MHzのG4で600MHzのPentium IIIの約3倍の処理速度を記録したことをレポートしていた(http://www.apple.co.jp/powermac/processor.html)。


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