低騒音設計など先進の基本設計も忘れてはならない と、ここまではいわゆる基本スペック面だけから見た話だが、新iMac3モデルについて語る際、家庭での利用が中心となるマシンにはこれまでも求められ続けてきた“静寂性”を 確保した基本設計も忘れてはならない。本体のハンドル周りに多数の穴を穿ち冷却ファンを不要にした設計は、旧来のiMacの以外に喧しいノイズに邪魔されながら、マルチメディアソフトや音楽CDを鑑賞していたユーザにとっては、羨しく感じられるのではないだろうか(10月7日に日本で行われた発表会では、「体感的には7デシベル以下」「他社製品の半分」などと説明されていた)。 考えてみれば、最初のMacintoshは既に冷却ファンのない設計だったわけで、その意味ではワンボックス設計やあえて拡張性を持たせないなど“初心に帰った”感のあるiMacが、またひとつ過去から学んだ結果ともいえるだろう。冷却ファンやハードディスクの奏でる騒音に頓着しない=本質的にユーザにとって“快適なコンピューティング生活”というものを理解しようとしていないパソコンメーカーがほとんである昨今、 新iMacでのノイズ対策は、やはりApple Computerならではの先進性として、高く評価すべきだろう。さらにノイズを軽減しただけでなく、ハーマンカードン社製高性能オーディオシステムOdysseyを全モデルに搭載するなど、パソコンをAV機器的に使いたいというユーザニーズも意識している。 基本設計の改善についていえば、メモリの増設などが行いやすくなった点も挙げておきたい。旧iMacでは、メモリを増設しようと思うと一度裏ぶたを空けて中身を出し、いくつものケーブルやネジを外さなければならない上、裏ぶたを閉めようにもなかなか閉まりが悪かったりして、結構苦労したものだ。その点新iMacは、ふたを開ければすぐにメモリが差し込めるように改良されており、最大512MBまでメモリ増設可能という拡張性の高さを活かした設計になっている(AirPortカードの装着も同様に行うことが可能だ)。この点は発表時にジョブズもアピールしていた。 スペックによってカラーが限定されるなどMacユーザは新たな悩みを抱える? ボディカラーは、新iMacがブルーベリーの一色のみ、DVモデルが旧iMacと同じくiCandyカラーの5色、DV Special Editionモデルが上級ユーザを意識したG4と同じグラファイトカラーだが、いずれも旧iMacと比べ透明度が増し、ほとんど中身が透けて見えるデザインになっている。これを美しいと見るかどうかはユーザ個々の好みだろうが、スペックによってカラーが限定されるのは、ちょっと悩ましいところかもしれない。 悩ましいといえば、新iMacの発売に伴い、旧iMacが9万9800円に値下げされるという。つまり、ある程度の期間、スペック(価格)にして4種類、ボディカラーでは7種類のiMacが店頭に並ぶというわけで、古いPowerMacintoshなどからの乗り換えを検討中のMacユーザにとっては、悩める秋になりそうだ。
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