東京大学IML編

今回探検隊が伺ったのは東京大学インテリジェント・モデリング・ラボラトリー(IML)。ここには同大学先端科学技術研究 センターの廣瀬通孝教授が研究・開発をしている国内屈指の大型3次元画像システム「CABIN」があるという。最先端の バーチャルリアリティーを実際に体験させて頂くめったにないチャンスということで、今回も期待に胸をふくらませた隊員たちが 集まった。では早速、探検を開始しよう!!

三次元画像装置「CABIN」と対面その構造と仕組みに迫る!!
 今回隊員たちがお邪魔したのは東京大学本郷キャンパスにあるIMLという建物。早速、廣瀬教授にバーチャルリアリティー(以下VR)について教えて頂こう。「人間は体感できて初めてそれが現実と思うんです。理屈で説明されたものよりも実際に目に見えたものの方を信じるでしょう。バーチャルとは、実際に存在はしないが機能や効果として存在するという意味です。つまりVRとは実際に存在しない、たとえばコンピュータ・シミュレーションの世界を、あたかも存在するかのごとく体験したときに感じる現実感のことですね。今日はCABINで最先端のVRを体験してください」。さあ、いよいよCABINとの対面だ。はやる気持ちで「三次元仮想空間生成室」というプレートの貼られた扉を開けると室内は6、7メートルはある高い天井に黒い壁、そしてオレンジ色の照明が印象的な薄暗い空間が広がっている。


そしてこの部屋の中央部に設置されているものこそCABINなのだ。CABINは黒い鉄骨を2メートルほどの高さに組んだベース部分の上に2.5メートル四方の箱型の装置が設置されていて、ここが映像提示部、いわばVRの体験ステージとなっているのだ。さてまずはCABINの構造や仕組みを簡単に廣瀬教授と同大学大学院の加藤允文さんに教えていただくことにしよう。VRの映像が映し出される箱型の装置は天井、床、奥と両横部の壁の計5面が強化ガラスで作られていて、その上にスクリーンが張られている。
映像は各スクリーンの裏側からプロジェクタで投影される。このシステムでVRを体験するためには、特別なセンサーが付いたメガネを装着する必要がある。このメガネには耳にかける部分に磁気センサーが付いている。このセンサーがステージ内で発生する磁場を感知して、この磁界情報を体験者の背後に設置してあるガラスの球体が受信し、この空間内での立体的な位置と角度を計測しているのだ。こうして体験者の頭の動きや位置に応じたデータがリアルタイムで処理され、体験者の目の位置から周囲を見ると各スクリーンにはどのような映像が映るべきかをグラフィックワークステーションが1秒間に96回の計算を行って画像を描きかえて映し出しているというわけだ。スクリーンに映し出される映像は、裸眼で見ると、ぼんやりぼやけて線が二重に見える。これは右目用の映像と左目用の映像が1秒間に96回の速さで交互に映されているため。この映像の動きと同期して、センサー付きのメガネは左右のシャッターを開閉する。つまり右目用の映像が映されているときはメガネの左目のシャッターが閉じ、左目用の映像には右目のシャッターが閉じるという仕組みだ。この両眼視差を利用したメガネを付けることで、中にいる体験者の目にはスクリーンの映像が立体に見えるのだ。「オムニマックス映画などの予め用意された映像と違って、視点をどこにでも持っていくことができ、またリアルタイムに自分の行きたいところにいけるのがこのシステムの大きな特徴です」と廣瀬教授。では体験をはじめよう。

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