リンククラブ探検隊

編集工学研究所編

編集工学研究所の前でスタッフのみなさん記念撮影。
ありがとうございました。

「編集」という言葉を聞くと、新聞や雑誌、映画、ビデオの編集を思い浮かべ、「自分には縁のないもの」と感じる人も多いだろう。しかし、実は生活・文化・経済・スポーツ、さらには井戸端会議や料理にまで、編集的方法が潜んでいると聞けば、「編集」というものへの興味・関心もぐんと沸いてくる。今回の探検地は、生活、ビジネス、歴史、科学、遊び、教育、そして地域コミュニティづくりにまで、編集的方法の適用をすすめる「編集工学研究所」。特に今回は、同研究所が主宰するインターネットで編集術を学ぶ「ISIS編集学校」の講義をリアルに体験し、「編集」の魅力とその可能性を探ってみよう。
編集工学研究所からリンククラブ会員の皆さまから「ISIS編集学校」第2期生大募集中!
人数が集まれば、リンククラブメンバーだけの教室も開設される予定もございます。
申込みページはこちらから

編集的方法を多彩に適用する

 地下鉄銀座線「青山一丁目」駅から徒歩10分ほどのところに、今回の探検地「編集工学研 究所」はある。黒の格子窓と木目調の書棚が落ち着いた雰囲気をかもし出す一風変わった空間に探検隊たちは案内された。書棚には日本の社寺建築や仏教美術などの写真集が整然と並べられ、奥には、五万冊以上の蔵書の本棚が配置されている。この本の配列に関しては実は面白い仕掛けがあるのだが、その話は後ほど教えてもらうとして、まずは同研究所の大川雅生さんに、 編集工学研究所について紹介していただこう。

 「編集工学研究所は、生命に学ぶ・歴史を展く・文化に遊ぶ、の3つをポリシーとして、情報・経済・文化・歴史・産業、そしてメディアなど、世の中のすべてを“編集”という視点から研究しています。一見、つかみどころがなさそうな“編集”というものを、誰もが使える方法として工学的に確立することをめざしています。所長の松岡はこれを、“編集工学”(エディトリ アル・エンジニアリング)と呼んでいますが、この編集工学をさまざまな分野に適用して、 創造的な問題解決シナリオを提示し続けたいと思っています。それは研究・開発であったり、ネットワーク教育システムであったり、地域 コミュニティづくりであったり、パブリッシ ングであったり、さまざまです。でも、それはすべて“編集”なんです」

だれもが「編集」をしている

 大川さんの説明を聞いて「編集」がさまざまな分野で幅広く用いられることに驚く隊員たち。しかし、あらためてここで「編集とはなんだ ろう?」という素朴な疑問が沸いてくる。この疑問に答えてくださるのは、同研究所所長の 松岡正剛さん。「人間の頭の中は、もともと多くの情報が出入りするかなり混乱したハイパー テキスト状態なんです。そのランダムな情報の流れの中から必要な情報をピックアップして、場面、場合に応じた組み立てに切り替える作用、それが“編集”です。実はこういうことは誰 もが毎日、四六時中、朝・昼・晩にやっていることなんですね。例えば、主婦がスーパーマーケットで買い物をするとき、今日の夕飯の メニュー・家族構成・子供たちやだんなの 好み・お買得品、冷蔵庫というデータベースの中に貯蔵されているものなど、さまざまな情報を瞬時に思い浮かべながら新しい組み立てを 考えて複数のデータを並列処理し、何を買うかをジャッジする。そして買い物カゴに商品を入れています。これも言ってみれば“編集”のひとつなんです。つまり編集とは、頭の中に去来する情報の複数の流れを、その場に応じて最適な集約的な順番に置き直す作業と言えるのです。これは簡単な例ですが、もう少し深く掘り下げていけば、歴史や音楽、建築などもすべて編集的と言えるんです」。

編集工学研究所の大川さんと宮之原さん
編集工学研究所の大川さんと宮之原さん

編集工学研究所の多方面に渡る話題に聞き入る隊員
編集工学研究所の多方面に渡る話題に聞き入る隊員

編集について説明してくださる所長の松岡さん
編集について説明してくださる所長の松岡さん


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