リンククラブ探検隊

株式会社ゆう 編
たまに街中で見かける、動く広告塔のようなバスやトラック。この広告デザインが、実は車体に直接描かれた塗装ではなく、広告デザインが印刷されたシールが貼られたものであることを知らないという人も、意外に多いかもしれない。奇しくも今年、都営バスへの広告展開が開始され、現在東京都内ではさまざまな広告に彩られた都バスが運行されているが、このいわゆる「東京ラッピングバス」も、シールによって飾られている。でもあんな大きな車体に、一体どうやってあんなにきれいに、シールを貼るのだろう。またそのデザインは、どんな方法で行わているのだろうかと、探検隊の好奇心はうずく。そこで今回は、都バスラッピングの現場に潜入だ。
ラッピングバスが
あっというまに「普通の都バス」に

 その日、朝8時、探検隊はJR山手線目黒駅に集合した。探検隊としては珍しく早朝の集合だが、中には「都バス広告が始まって以来、面白いのでずっと写真を撮り続けている」という隊員もいて、早起きをものともせず、予定時間に全員、楽しみな様子で顔を揃えていた。

 全員集まったところで、駅からほど近いところにある都バスの目黒営業所を訪問。出迎えてくれたのは都バスはじめ自動車へのシールラッピングでは第一人者的存在である(株)ゆうの樋渡氏で、樋渡氏の案内で都バス営業所の車庫の奥へと進む。このとき、樋渡氏から、「バスが頻繁に出入りするので危険だから、あまり構内を歩き回らないでくださいね」といった注意もあったりして、なんとなく「滅多に見られないものを見られる」期待感も高まっていく。

 奥のほうの車庫で待っていると、1台のバスが到着。既に別の広告で飾られているが、これを剥がして新しくネスレ日本の広告を貼り付けるというのが、この日の作業内容だ。職人さんたちも、もちろん既に待機していて、バスが到着するとすぐに、なにやら大きな機械をセッティングしている。

 「これは何ですか?」と訊くと、「これはホットガンといって、熱風を出す機械なんです」とのこと。都バスに貼るシールは、比較的頻繁に貼ったり剥がしたりするため、剥がすときに接着面がバスの塗装にくっつかない、剥がしやすい素材が使われているとのことだが、それでも秋から冬にかけて気温が下がってくると、接着面の硬度が上がり剥がしにくくなってくる。そこで、温風ヒーターの怪物(?)のようなホットガンを使ってシールを暖めながら、剥がしていくというわけだ。

 シールを剥がす作業は、素人目には簡単そうに見えるが、実際にちょっと試させていただくと、「剥がしやすくできている」とはいえなかなかの力仕事。女性隊員の力ではぐっと引っ張ってもなかなか剥がれてくれないし、男性でもかなりの力を入れないと剥がせない。またボンネット周りなどバスの部位によっては、部品をいくつか取り外さないとシールを剥がせないところもある。つぶさに作業を観察していくと、やはりかなり難しそうではある。

 とはいえ、熟練の職人さんたちは、外した部品は散らばらないように一所に手早くまとめたりしながら、てきぱきと仕事をこなしていく。やはりシールを剥がす際、接着面が一部バスの表面に残ってしまうこともあるそうだが、それをホワイトガソリンなどで拭き取る作業も含め、シールを剥がす作業は小一時間で完了。あれよという間に広告ラッピングバスがお馴染みのグリーンの都バスに剥かれていく手際のよさを見て、探検隊一同、ちょっとした感動を覚えた。

(株)ゆうの樋渡さん。忙しい作業の合間を縫って、親切にご説明いただいた。
(株)ゆうの樋渡さん。
忙しい作業の合間を縫って、親切に
ご説明いただいた。

ラッピングバスの完成図。これを元に、絵柄が分割して印刷されたシールを貼っていく
ラッピングバスの完成図。
これを元に、絵柄が分割して印刷さ
れたシールを貼っていく。

女性隊員がシール剥がしに挑戦するが、プロのようにはなかなかいかない
女性隊員がシール剥がしに挑戦
するが、プロのようにはなかなか
いかない

剥がしたシールを手にして観察する探検隊員たち。予想以上に丈夫な素材で作られていることを確認。
剥がしたシールを手にして観察する
探検隊員たち。予想以上に丈夫な
素材で作られていることを確認

バスはシールを剥がされ、あれよという間に元の都バスに変身していく。
バスはシールを剥がされ、あれよと
いう間に元の都バスに変身していく

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