万博の歴史はそのまま19世紀から20世紀にかけての技術革新の歴史だった。各博覧会における目玉を少し紹介してみると……。

■1851年ロンドン博(第一回)
 水晶宮(鉄とガラスによる世界最初の大 建築。プレハブ工法の先駆)。コルト連発ピストル。かみタバコ。
■1853年ニューヨーク博
 オーティス社によるエレベーターの実験
■1867年パリ博
 日本初出展。電気機具(電気灯台、海底ケーブル他)。ガス灯。ドイツ・クルップ社の巨砲。
■1878年パリ博
 自転車。エジソン式蓄音機。タイプライター。会場では50人乗りの繋留気球と水族館が 大人気。
■1889年パリ博
 エッフェル塔。電光照明の噴水。人造絹糸のドレス。
■1893年シカゴ博
 動く歩道、大観覧車。会場とシカゴ市を結ぶ高架電車が作られる。
■1900年パリ博
 X線。無線電信。活動写真。自動販売機レストラン。入場者5000万人を記録。
■1904年セントルイス博
 自動車出品160台(T型フォード含む)。自動電話交換機。軽気球。
■1937年パリ博
 プラネタリウム。ピカソがスペイン館の壁画として「ゲルニカ」を描く。
■1939-40ニューヨーク博
 テープレコーダー。テレビ。5000年後まで保存されるタイムカプセルが作られる。
■1958年ブリュッセル博
 ソ連が人工衛星を展示。入場者の送迎に飛行機とヘリコプターが使われ、駐車場は5万台収容。
■1962年シアトル博
 入場者数予測に電子計算機が使われる。 大企業の展示館がアトラクション化。

 目立ったものを書き抜いただけでこんな調子である。まさに技術と社会の変化が万博に凝縮しているといえるだろう。有名建築物や交通システムなども万博を契機に作られたものが多い。また展示館(パビリオン)の建築が 新しいデザインの潮流を生み出した例(アールヌーボー=1900年パリ博)も多い。演出は回を重ねるごとに娯楽性を増し、もとはある程度統一のとれていたパビリオン建築も37年 パリ博あたりから「よそより目立つ」新奇なデザインへと走り出す。そして人々のド肝を抜く フューチャーデザインが爆発したのが、1970年大阪万博だった。

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