〜その新しい概念を理解する〜


デスクトップの新しい概念を把握する

Mac OS Xを使い始めるにあたって、従来のMac OSとのインタフェースの違いに慣れるためには、基本的な作業環境たるデスクトップ〜Finderの概念の違いについて、まずは把握しておきたい。  Mac OS Xを始めて起動すると、図のようなウィンドウが開いているはずだが、Mac OS XではこのウィンドウをFinderと呼ぶ。一見してわかる通り、従来「デスクトップ」と呼んでいた場所と同様、ハードディスクなどのアイコンが並んでいる様子は、Windowsの「マイコンピュータ」の様子に似ている。  Mac OS Xでのファイル操作は、基本的にこの新しいFinderで行うので、まずはこの新しいFinderに慣れることを、Mac OS Xの事始めとしたい。  新しいFinderは、図のように階層表示することも可能になっている。Mac OS Xでは、従来のMac OS以上に「ディレクトリ」という概念の理解が必要になっているが、この階層表示(Mac OS Xではカラム表示と呼ぶ)を利用すれば、ディレクトリのイメージがつかみやすいと思う。なおカラム表示の場合は、フォルダをクリックすると新しいカラムにそのフォルダの内容が表示され、アプリケーションやファイルのアイコンをクリックするとその情報が表示される。アプリケーションやファイルを開くには、そのアイコンをダブルクリックすればよい。

「アクセス権」も理解しておく

 Mac OS X以前、以後で大きく異なるのが、マルチユーザおよびアクセス権という概念だ。もっともMac OS 9以降、マルチユーザ機能はオプションとして装備されているので、既に理解している読者も多いかもしれないが、Mac OS Xではマルチユーザ環境が前提となる点に、注意しておきたい。  マルチユーザとは、簡単にいえば、Mac OS Xにログインするユーザごとに異なるデスクトップ環境が利用できる機能だ。たとえばMac OS Xでも、従来の意味でのデスクトップにアイコンを置くことができるが、これはログインするユーザごとに変わる。たとえばユーザAとしてログインし、デスクトップにアイコンを置いたのち、ユーザBとしてログインすると、デスクトップに置いたはずのアイコンは表示されない。

 こうしたユーザごとのデスクトップ環境は、Mac OS XがインストールされたパーティションのUserフォルダ→ユーザ名のフォルダ→Desktopフォルダに格納されているが、Mac OS Xのマルチユーザ環境では、各ユーザは基本的に自分のユーザ名のフォルダ(ホームと呼ばれる)のみ利用可能という点が、これまでのMac OSにはない点である。他のディレクトリのフォルダやファイルも開くことができる場合はあるが、その場合もアクセス権は「読み出しのみ」だ。システムフォルダの内容も「読み出しのみ」なので、従来のMac OSのように機能拡張などのシステムファイルを自由に出し入れすることはできない。  rootユーザとしてログインすれば、すべてのアクセス権を利用できる立場になるが、基本的にはアクセスできるディレクトリや項目に制限がある場合がある点を、理解しておこう。


これまでとのMac OSの違いに慣れる

 Mac OS Xのパブリックベータ版を使ったことのある人なら、製品版Mac OS XがかなりUNIX色を払拭し、従来のMac OS Xに近付いたという印象を持つのではないかと思う。たとえばAppleメニューの復活もそうだが、パブリックベータ版に寄せられたユーザの要望は、かなり汲まれているはずだ。

 とはいえ、従来のMac OSと異なる部分は、決して少なくはない。たとえばFinder操作のショートカットキーも、新しいものが加えられただけでなく、別表のように新しい組み合わせに置き換えられているものもある。あるいは従来のランチャー、コントロールバー、アプリケーション メニュー、ポップアップウィンドウは、すべて画面下に表示されるDockに統合されている。システム初期設定、よく使う項目、起動中のアプリケーション、開いているウィンドウなどはこのDockに表示され、いつでもアクセスできるのは便利だが、使い勝手に慣れないと却って操作の効率が下がるかもしれない。

 また従来のコントロールパネルは、すべてシステム初期設定(Dock上では「System Preferences」と表示される)ウィンドウにまとめられているし、セレクタが排され、サーバーへの接続はFinderの、接続メニュー→サーバへ接続、プリンタの選択はApplicationsフォルダ→Utilitiesフォルダ内のPrint Centerを使うなど、基本操作の部分でも異なる点は多い。Mac OS Xを実用的に利用するには、こうした相違点をきちんと把握し、慣れておく必要がある。


ショートカットの変更点

メニュー9.1X
「新規フォルダ」
エイリアスを作る
command+N
command+M
command+shift+N
command+L
ログアウトcommand+Qcommand+shift+Q
※備考
command+Nは、新しいウィンドウを開く(新規ウィンドウ)に変更





Dockは見た目のシンプルさとは裏腹に複雑な機能を持つだけに、使い勝手には十分慣れておきたい

新しいFinderの画面。Mac OS Xのファイル操作は、基本的にこのFinderで行う

カラム表示にすると、ディレクトリの構造が把握しやすい

フォルダをクリックして選択、その内容が表示される

アプリケーションやファイルのアイコンをクリックすると、その情報が示される

ユーザをひとりしか登録していない場合はログイン時のユーザ名、パスワードの入力は不要だが、システム初期設定→ユーザ、でユーザを追加すると、次にログインするときからユーザ名とパスワードの入力が求められるようになる

アイコンを選択し、情報を見る→アクセス権、を選択すると、その項目のアクセス権設定が確認できる。自分がオーナーの項目に関しては、アクセス権を設定できる場合がある

他のユーザがオーナーの項目は、アクセス権の確認のみ行える。またこの通り、オーナー以外は書き込みを行うことができない

セレクタがなくなり、サーバーへの接続方法も変更された

プリンタの選択は、Applications→Utilities内の「Print Center」を起動して行う

システム設定関連は、すべてシステム初期設定にまとめられている