●大学では現代美術を学んでいたというと、 今のポップな作風とはかなり違っていたのでは という印象を受けますが。

手法など表面的には違いますけど、でも、 根底にあるものは同じですね。その当時に影響を受けた人を考えても、杉浦茂さんとか、立花 ハジメさんとか、大友克洋さんとか、鳥山明さんとか…きりがないですがそういう人たちですし。

●ぱっと見た印象としては、アメコミの影響も 少しあるのかな、と感じましたが。

もともと今井トゥーンズという名前は、90年代のハウスムーブメント以降諸外国でいわゆる ジャパニメーションのイメージが使われ始めたことに対する反応として付けたんです。たとえ 「うる星やつら」のラムちゃんとかをもの凄く 下手に模写して(笑)、レコードのジャケットに 使っていたりとか。で、また、その崩し方が、すごくカッコよかったりする。じゃあ、日本人である俺は、どういう形でそれに応えようかと。そういう意味で「今井トゥーンズ」なんですけど、だからアメコミの影響は、素材やモチーフとして、かもしれませんが、あるといえばありますね。

●Macを使いはじめたきっかけは?

大学の研究室では、アトリエを使わせてもらってたんですけど、終了と同時に使えなくなりますので、アトリエ代わりという感じでですね。それまで作っていたような立体作品は置き場がなくなってしまうわけだし、表現ってある程度自分というものがあってこそのものだから、あまりに 現実の生活とかけ離れたものもどうかと思って、 じゃあ表現の方法も変えちゃおうと。 ●今は、作品はすべてMacで?  いや、基本的には手描きです。Macはそれに色を着けたり、加工したりする手段ですね。 コンピュータで全部やるのは、自分のやりたいこととはちょっと違うかな、という気がしたので、そういう方法を採っているわけですが。ソフトをいろいろ使っていく過程で、自分のイメージしていたものとは違うものができたりとか面白いことも多いですけどね。でも最近は、いわゆる3DCGなども自分の手法として使えるんじゃないかな、と思い始めてはいます。

●コンピュータが自分の生活の中にあることで、 なにか大きな変化などはありますか?

 
今使っているブルー&ホワイトのG3を買ったときは、これが部屋に来たらインテリアを変え なきゃいけないんじゃないかとちょっとびびりましたが(笑)、実際は意外と大丈夫でしたね。それはまあ余談ですが、インターネットが普及してから、みんなとつながっている、ということが体感できるようになったというのは、すごく面白いです。海外で配ったフライヤーを見て、その国の人からコラボレーションの誘いが来たりとか。

●そういった「つながり」が生まれるのは、今井さんの作品の魅力もあると思うんですが、ご自身ではその辺を、どう捉えてますか?

うーん、難しいですけど、いつも最初に考えるのは、「新しいものがないから欲しい」ということなので、それに共感してくれる人が多いということかもしれません。あと、どんなイメージを作る場合でも、根底にあるのは割と人間の根底にあるものというか、普遍的なメッセージだったりするので、そういうところでわかってもらいやすい、という要素もあると思います。

●最後に、今後の予定をお話しください。

まず一番近いのは、So-netに提供するコンテンツで、コミックの連載を開始することですね。これは実は、「Spidead」という長大な3部作の外伝的なものなんですけど、その「Spidead」を完成させることも含めて、映画など総合的な、自分のやりたいことをひとつに集約したものを作るのは、大きな夢です。それはいつになるかわかりませんけど、それまでの間もメディアとか ジャンルにこだわらず、いろんな表現を試みていくつもりです。


●ありがとうございました

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