リンククラブ探検隊 リンククラブ探検隊
田宮模型
記念写真
田宮模型編
夏休みということもあり、今回の探検隊は、家族連れも含む大所帯。向かうのは、男の子なら、年齢を問わず、一度は遊んだことがあるであろうプラモデルとラジオコントロールモデルのメーカー、株式会社タミヤだ。その精巧さと正確さでファンを魅了したミリタリーモデルを始め、飛行機、船、車、オートバイ等のスケールモデル、新しくは、ミニ四駆やダンガンレーサーなど、現代の子供たちを熱くするキットを開発・発売し続けている。そんな憧れのメーカーを探検する夏休みスペシャル企画だ



 JR静岡駅から車で約10分。赤と青のベースに並んだ白い星のマークが見えてくる。門の前には、太陽電池で羽ばたくトンボの模型がさりげなく置かれていて、そういうのを見つけては、いちいち盛り上がる探検隊員たち。そう、今回は、あの、世界中の男の子たちの憧れ、プラモデルやミニ四駆でお馴染みの株式会社タミヤを探検するのだ。家族連れの隊員も参加した、リンククラブ探検隊夏休みスペシャルだ。
 まずは、タミヤの会社内や仕事内容、プラモデルができるまでをまとめたビデオを見せていただく。1948(昭和23)年に、木製模型メーカーとしてスタートしたタミヤ。企画、設計、金型製作、成形、箱詰め、さらにパッケージから組み立て説明書、ポスターや広告などのグラフィックデザインまで、全てを社内で一貫して行うという、日本の模型キットメーカーとしては他に類の無い体制を整えている。私たちが子供の頃から、タミヤのプラモデルは「組み立てやすい」「くるいが少ない」と評判だったのだが、その秘密の一環を見せてもらったように思えた。
タミヤの歩みを一望できる
歴史館とロビーを見学
「ここは、歴史館といいまして、今は販売していない製品を展示してあります。創業当初に製造・販売していた木製の模型から、プラスチックモデルになって、飛行機や戦車、車など、色々なジャンルのものと、ラジオコントロールカーが展示してある場所です。置ききれない物もありますし、もう見つからないものもありますから、ここにあるのが全部というわけではありませんが、タミヤの歴史が一望できるようになっています」と、メディア情報課の山本氏が案内してくれたのは、「歴史館」と呼ばれる部屋。戦車、戦艦、車といったカテゴリー別に、今では手に入らない、タミヤの製品群が展示されている。「すげえ」と言いながら走る北斗クン(10才)、矢継ぎ早に質問しながら、写真を撮影する帆船模型協会会長の小松さん(72才)など、隊員たちの表情は、真剣かつ嬉しそう。展示物では、やはりミリタリー系のものが圧巻で、隊員たちの郷愁と子供の頃に燃えた記憶を誘っていた。  続いて、本社ロビーへ。そこには、プラモデル開発の資料用などの目的で購入された実車などが展示されている。そこに置かれているポルシェは、模型開発のため、分解までしたという。 「このモデルそのものをキットにしたわけじゃないんですよ。このモデルをベースにしたレーシングカーがあって、それを作るために、もとは同じなんで、構造は同じだろうということで購入して、分解して、その仕組みを調べて、模型の設計をした訳です。」  また、現在販売中の製品の展示も行われていた。最近プラモデル屋に行くことも少なくなった隊長やリンククラブのスタッフの面々はあれを買おうこれを買おうと品定め。  さらにロビーには、ひときわ目立つ巨大な機械が置かれている。なんと、プラモデルを作る機械だ。しかも、実際に稼動する。 「これは射出成形機といいまして、プラモデルを作るための金型がセットしてあります。この上のタンクにプラスチックの原料を入れて、その原料を溶かして、金型のなかに樹脂を流し込みます。すると、プラスチックの部品ができ上がるわけです。同じ金型からできる部品でも原料の配合によって、色が変えられるんです。プラスチックの原料自体も、例えばもっと柔らかいものですとか、強度の高いものなど、製品の種類や目的に応じて使い分けるようにしています。」と山本氏。  この機械で作られる小さなスクーターのプラモデルは、お土産に持ち帰れるというのは嬉しいサービス。できたてのプラモデルが手に入るわけだ。  この本社ロビーと歴史館は、平日の8:00〜17:00なら、誰でも無料で見学することができる。隊員たちは、また来ようといって盛り上がるのだった。
CADを使った設計部門と
Macを使ったデザイン部門
 続いて探検隊一同は企画開発部へと向かった。「ダンガンレーサー」ができるまでを例にとって説明して下さったのは開発課の鈴木氏。 「『ダンガンレーサー』という製品は、形自体が架空のものですので、まずデザイナーがスケッチを起こしまして、それを元に原寸大のクレイモデル(工業用の粘土を使った立体模型)を作ります。そのクレイモデルを使って検討した形をもとに、われわれ設計者が図面を起こすわけです。図面はコンピューターを使った、2次元のCADで作図しまして、それをもとに、3次元データを作ります。」と言って、鈴木氏は二次元の図面を立体にしていく手順を見せてくれる。立体にした図面に、さらに面をつけて行ってダンガンレーサーの立体画像ができ上がる。
「このデータに基づいて、各種機械加工で金型を削りだしていきます。ただ、画面上ですと、どうしても微妙な曲面の再現というのが難しいものですから、実際に金型の加工に入る前に、樹脂ブロックを削り出して、形状を確認してから、金型の加工に入ります」
 続いて、デザイン部門を案内してもらう。この部門は全てMacが使われていて、プラモデルに付属するステッカーやデカール、パッケージやポスター、カタログ、広告などを製作しているそうだ。また、イベントなどで使うパネルや会場のレイアウトなども、この部門で行う。
「デカールなどはAdobe Illustratorで作成します。ロゴなどのデータを自動車メーカーなどからいただく時もありますが、それ以外は写真などからスキャナーで取り込んで、トレースして作成します。ただ、単にそのまま縮小しても製品にはなりませんから、できあがってきた実際の部品にサイズをあわせていったり、色味を見たりして、全体的にレイアウトしていくようにしています。特に曲面の部分などに貼るものの場合は、実際のモデルに貼ってみないと分からないことも多いんです。綺麗に貼れるように作るのは、結構、勘が重要だったりしますね」
と、説明してくださったのは、グラフィックデザイン課の杉山さん。隊員の小松さんも、Ilustratorで帆船模型用の旗などを作成されているそうで、熱心に作業を見学されていた。その後、パッケージができるまでなどのパネルを見せてもらいながら、我々は、いよいよ金型工場のほうへと向かう。

メディア情報課の山本さん
今回、社内を案内して下さったメディア情報課の山本さん。プラモデルの魅力を熱く語ってくれた

歴史館
創業当時の木製模型からRCカーまで、現在は手に入らない製品の数々が並べられた「歴史館」







ロビーに置かれている射出成形機。
ロビーに置かれている射出成形機。この機械でプラモデルが作られるのだ


プラモデルを作るための資料として購入された実車たち
ロビーにズラリと並んだ、プラモデルを作るための資料として購入された実車たち

開発課の鈴木さん
形状確認用のモデルを手にして、ダンガンレーサーができるまでを解説してくれた開発課の鈴木さん

大興奮の探検隊員たち
普段、滅多に見られないプラモデル作りの内幕を見学できて、大興奮の探検隊員たち



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