使っていると、どんどん熱くなるのは、Powerbookの宿命。そこで、本体の発熱を抑えてくれるINTERCOOLERは、Powerbookのヘビーユーザには必須の製品だ。実際、隊員の一人は、Powerbookを持参しての参加。INTERCOOLER GTXに深い関心を寄せていた。そして、実際に使用させてもらって、そのデザインの良さはもちろん、冷却能力の高さにも隊員一同感嘆した。
しかし、最初から現在の製品のようなデザインではなかったそうだ。USBを使って電源を取ってファンを回すという構造はバード電子社長の以前からのアイディアだったが、当初は縦に長いデザインを考えていたそうだ。
「私がデザインに参加する以前は、Powerbook用とかVAIOC1用と、ノートパソコン一つ一つに大きさを合わせたものを作っていたんです。そういう製品ごとのバリエーションを一本化できないかという話から、大きいA4も、小さいB5ノートも、1個でできる縦長というのはどうかという話が出たんです。設置面積をある程度しっかり取れば、多少大きいものでも、ガタガタしないんじゃないかと。それに、
作り方もいわゆる板金の成型方法なんで、商品としてチープに見えやすいという話もありましたし、当時バード電子さんのINTERCOOLERをまるまるコピーしたような製品が出ちゃったこともあって、それを攻撃することもできたんですけど、とにかく新しいものを作るポジティブな方向で解決しようということになって。一目見て今までのと違うとわかる新鮮さがより必要になりました。」
そこから出発したデザインは、特徴的で、途方もない金型の投資を必要とせず、バード電子が得意としてる手法も使いながらという厳しい条件で進行していく。そんな中、部分的に合成ゴムを使うことで見た目のイメージを変えたり、ファンなどのユニット部を下にまとめて、上はただのカバーにすることで、同じ仕組でいろんなバリエーションが作れるようにしたりといった工夫を、バード電子とのコラボレーションの中で重ねていく。
「試作品を作ったところで、富士通のA4とか、VAIOのA4とか、いろんなのを乗せて、いろんな人にテストしてもらったんです。そしたら、文字をたくさん入力する人は、揺れちゃって仕事にならないって言うんです。そういう意見を全部吸い上げて、やっぱり縦に長いのは間違いだと方針転換をしたんです。結果的に、そこで方針転換をして製品化したのが、PowerbookG4が出る1〜2ヶ月前だったんですよ。PowerbookG4があんなに横に広くなってるとは思わなかったから、縦長だったらアウトでした。運も味方に付いたかなと思いました。」
INTERCOOLERの他にも、iBookを屋外で使うときに使う「iPillow」や、PowerbookG4用のプロテクター「ProG4」など、中林氏のデザインしたMac用製品は、
バード電子や
Tetsutaro Designのホームページで見ることができる。それらの製品を手に取って、探検隊一同が、思わず欲しくなってしまった中林氏のプロダクトデザインを味わって欲しい。 Text by : 中野本朝