「モニターはあくまで予告編。 |
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それとインターネット。僕は、97年にインターネットをやりだして、書家のサイトをいくつか見たんです。でも、例えば画面で書を見せる、という部分をちゃんと考えたサイトが無いんですよ。じゃあ作ろうと思って。モニタで見た時に見栄えのする画像サイズがあるわけですよね、当然ね。それにあわせて、作品を展開していく。ニーズが多様になるからバリエーションを増やす。すると当然だけど、国境はないから英語のページをつけ加える。そういった形でスタートしたのですが、おかげさまで大ヒットになりました。もうじき30万人です。そうすると、ものすごい数の反響のメールがいただけるようになる。そこには結構率直な意見があったりする。ギャラリーで出すだけじゃなくてね。後ね、それを見てギャラリーに足を運んでくれる人も増えました。あくまでもモニタで見るのは、いわば予告編。やっぱりオリジナルを見て欲しいですから。 ____書と写真をMacで合成した作品も作っていらっしゃいますよね。 Macの中で多重録音みたいな形ではめ込んでいくんです。アナログ的に手作業で、ちょっとずつ焼きこみながら。墨の部分はこの作品専用の墨(かなり流れるので普通の字は書けない)を作って、それで文字を書いたものをスキャン。その一部分を使うようにしています。その書いた文字の部分を見ながら、それに合うようなポーズを考えて、写真を黒バックで撮影します。墨の黒が持っている幅と、写真の中にある黒の幅とを重ねてみたらどうだろうと考えたんです。単純にレイヤーで合成するのではなく、実際に印画紙に2つのフィルムを感光させるような作業です。ただ、あまりにも時間がかかるので、去年1年間でこのシリーズは3点だけしかできなかったんですけどね。でも、これが中国の美術館の公式収蔵になって永久保存していただけることになりました。それは去年最大の喜びでしたね。 ____ありがとうございました。
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