Netscape Communicator 4.0


文字だけのコミュニケーションしかできなかったら、インターネットの人気はここまで高くはならなかっただろう。写真、グラフィック、アニメーションを駆使して世界中に情報を発信できるソフトを創る・・・これを最初に実現したのが、米Netscape Communications社の若き天才プログラマー兼技術担当副社長のMarc Andreessen(マーク・アンドリーセン、26歳)だ。イリノイ大学在学中にクラスメイトと共同開発したWWWブラウザ、Mosaic(モザイク)をベースに’94年、『Netscape Navigator』を誕生させる。その後Netscapeは、向かうところ敵なしの標準ブラウザとしてパソコン界に君臨することになる。’97年 8月にリリースされた最新版の4.0を使って、その素顔に迫ってみよう。


安定した動作と機能の充実さが◎

 『Netscape Navigator』(以下、Navigator)が誕生した’94年当時、世の中は「パソコン通信」の全盛期で、「インターネット」という言葉は、どのパソコン雑誌、どの書籍を見ても、それほど話題にはなっていなかった。それが今はどうか?「買ったその日からインターネットが楽しめる」というシールを張るだけで、パソコンの売り上げは倍増するという有様。まさにマジックワード的存在だ。
 Navigatorは誕生からわずか2年間で、ブラウザ市場の85〜90パーセントを独占する超大物ソフトに成長し、’96年に米Microsoft社の『Internet Explorer 3.0』(以下、IE)が登場するまでは、完全独走状態だった。そしてNavigatorの最新版4.0では、従来のものにイントラネット(特定のグループ内で、インターネットのプロトコルを使って共同作業すること)などに活用できる「コラボレーション」機能を追加し、『Netscape Communicator』(以下、Communicator)という名前で変身を遂げた。Communicatorはブラウザ(Navigator)のほかに、インターネットメール(Messenger)やHTMLエディター(Composer)などの機能を持っているが、やはりメインはブラウザのNavigatorだ。ウインドウ上部のツールアイコンを、従来の2次元的なフラットなものから立体感のあるデザインに変更。その下にはホームページのURL(アドレス)を入力・表示する「Location Tool Bar」があり、左端のアイコンをダブルクリックすると、表示中のホームページをブックマークに登録できる。ブックマーク(Bookmark)とは「しおり」という意味で、気に入ったページのURLをまとめて登録し、すぐに呼び出せるNavigatorの機能だ。IEでは「お気に入り」という呼び名になっている。
 ブラウザの機能を拡張できる「プラグイン」を最初に使ったのもNavigatorだ。ネットサーフィン中にブラウザが対応していないデータを使っているホームページに出くわした場合は、どのプラグインが必要なのか、またどのホームページで入手可能なのかを教えてくれる。ダウンロードしたプラグインを「プラグイン」フォルダに入れて再起動すれば、先ほどのホームページを見ることができる。
 Communicatorは統合ソフト的な使い方を目的としているためか、消費するメモリーが約12MBと大きい。ブラウザしか使わない人にとってはちょっと迷惑でもある。そんな人のためにNetscape社は、Navigatorだけを備えたソフトをホームページから入手できるようアップロードしている。Communicatorは多機能かつシンプルな操作が自慢で、初心者も安心して使えるのが特徴。スキルアップに従って付属の機能を楽しめるのもうれしい。ただ残念なのは、同じバージョンのウインドウズ版と比べると、「マック版は一世代古いのでは?」と感じさせられてしまう点。ウインドウズ版ではすでに対応済みの「Dynamic HTML」(HTMLの拡張規格で、プラグインやJavaを使わずに動きのあるページを表示できる)をサポートしていないなど、改良点はまだまだ残っている。

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