ビルの中は迷路状態
迷子に気を付けよう

 前日午後8時ごろ、臨海副都心付近はみぞれ混じりの雪が降り、天気が心配された。しかし一夜明けると見事な快晴となり、しかも2月にしては暖かい。編集担当のO氏とカメラマンの方とともに一足先にお台場に到着、辺りを散策する。金曜の夜や休日になると、人、人、人で溢れているが、平日のオフィスアワーは実に静かだ。レストランや喫茶店も閑散としている。記念撮影スポットを探し待つこと15分、探検隊のメンバーが到着。近くの喫茶店でコーヒーを飲みながら打ち合わせを終え、いよいよフジテレビへ突入開始だ。  まず最初に辿り着いたのは、スタジオ毎の制御を行う、「サブ・コントロールルーム(副調整室)」と呼ばれる部屋で、ここでは、スタジオで使用するカメラやVTRの映像音声をチェックしひとまとめにする。サブで作られた素材は「送出センター(主調整室)」に運ばれ、ネット局や東京タワーを経由してお茶の間に届く仕組みになっている。各調整室はガラス張りで中を覗くことはできるが、関係者以外立ち入りは禁止。以前どこかのテレビ局がハイジャックに遭い、調整室を占拠されてしまったことがあるらしい。フジテレビも河田町にあったころはガラスに鉄格子を設けていたが、お台場に移ってからは「オープンなテレビ局」を目指す一環として、強化ガラスに変えたという。調整室に辿り着くまでには、迷路のような廊下を行ったり来たりしなければならないが、これもハイジャック対策のひとつとのこと。ガラス越しに覗くと、数十台のモニタが机の上や壁に設置されている。マックの画面らしきものが映っているのも2、3台ある。表計算ソフトかスケジューラのようだが、ちょっと遠いのでよく見えない(残念)。  調整室をあとにした探検隊は、エレベーターを乗り降りしている間に「V10」というスタジオに到着した。どうやらここはスポーツスタジオのようだ。壁には「プロ野球ニュース」と書かれている。「木佐アナや西山アナが座っている椅子はこれかな?」などと、女子アナファンのO編集者はニコニコしながらスタジオ内を見渡していた(椅子に座ってアナウンサー気分に浸る者、セットの前で記念写真を撮る者が続出)。V10スタジオのそばには、「どうなってるの?」の「V6」スタジオがある。広さは約8メートル四方で、思っていたよりも狭いというのが第一印象だ。  このようなスタジオが全部で10室あるそうだが、最大の目玉は、東洋一の広さを誇る「V4」スタジオだ。フロア面積は何と300坪。天井の高さは、ビルの3階吹き抜けに相当する10メートルもあり、無数の照明がぶらさがっている。「料理の鉄人」「SMAP×SMAP」などが収録される場所で、あと3時間後には、「とんねるずのみなさんのおかげでした」の1コーナー撮りに、あの2人がやってくるらしい。残念ながら先を急がなければならない我々は、Macを探しに報道センターへと向かった。

オリジナルの縦書きワープロで
原稿を書く記者・編集者たち

 番組の収録が行われていないスタジオやその周りは閑散としていたが、報道センターはまったく違う。1フロアに数百人はいると思われるスタッフが、パソコンに向かって何やらニュース記事や番組の原稿を書いている。デスクや編集長の怒鳴り声(叫び声?)もときどき聞こえてくる。スタッフのほとんどはMacを使っているようだ。画面には見たこともない縦書きワープロ が…。それもそのはず、これはフジテレビオリジナルのソフトで、『キューティーマスコット』などでお馴染みの潟Rーシングラフィクス・システムズと共同開発したものだという。取材に出かける記者はみなPowerBook 1400を持っていくそうだが、さすがに3キロの重さにはウンザリ状態。軽量の2400が登場してある程度不満はなくなったが、よりコンパクトなWindowsノートパソコンに乗り換えようという動きもある。  面白いのは、ニュース編集室の各ブースの机の上に置いてあるPowerBook。パーティションで区切られたブースではPowerBookを壁にぶつけて、PCカードスロットに差さった何万円もするネットワークカードをすぐに壊してしまう。そのプロテクション用に報道記者が考案し、美術さんが作ったのが、スポンジ状のカバーというかドックだ(写真)。 PowerBookがすっぽり収まり、しかも鎖で固定できるので盗難防止にもなる、グッドアイデアである。

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