連載特集:マックでつなぐ

パソコンの世界はボーダレス。
マルチな使い方がトレンド

両OS間を橋渡しするMicrosoft Office 98
ビジネスソフトで初めてマルチプラットフォームに対応したのは、米Claris社(現FileMaker社)の『ClarisWorks』『Claris Impact』などの製品。「Hybrid」と呼ばれる、Mac版とWindows版を1枚のCD-ROMに収録した形で発売され話題を呼んだ。
 Clarisのソフト以上に人気があり、しかもマルチ対応の製品に、米Microsoft社の『Office』がある。ワープロの『Word』、表計算の『Excel』などをワンパッケージにしたスイート製品で、期待される機能はほとんどすべて搭載した、ビジネスソフトの代名詞的存在。Windows市場では圧倒的なシェアを誇り、ファイル互換を重視する環境では欠くことのできないアイテムだ。


 この夏、日本語版のリリースが予定されている『Office 98 Macintosh Edition 』は、Windows版より先に「98」の冠が与えられ、より「Macらしさ」を追及している点が特徴。最近のソフトは「インストーラ」(Windowsでは「セットアップ」)を使って必要なファイルをハードディスクなどに組み込むものが多い。これに対しOffice 98は、プログラムの入ったフォルダをドラッグ&ドロップするだけだ。Mac OSの真髄ともいえる直感的な操作性を実現している点が大いに評価できる。現行バージョンのOffice 4.2では、例えば機能拡張ファイルのひとつを誤って消してしまうとプログラムが動かなくなるといった問題があったが、98では新たに搭載された「セルフリカバリー機能」によって、消したファイルを自動的に元の状態に戻してくれる。
 すでにOfficeはWindowsの世界ではスタンダードであり、数百万人のユーザが愛用している。そのOfficeとMac版のOffice 98がデータを交換し合える。先に述べたような、会社ではWindowsマシンを、家ではMacを使っているといった環境では、共通のフォーマットが使えることのメリットは絶大なものだ。WordやExcelで作った書類を、体裁を崩すことなく両マシンで開くことができる、そう考えただけで使ってみたくなる。
 マルチプラットフォーム対応とは、広い意味での「コミュニケーション」をスムーズにする手段といえるかもしれない。Office 98は、「Macは〜、Windowsは〜」といった固定概念から解き放ってくれることは間違いない。便利なものはMacであれWindowsであれ、あまり関係ない。用途に合い、そして本当に便利なほうを臨機応変に使えばいいだけなのだ。異機種をちゃんと橋渡ししてくれるソフトがあるのだから。

条件はそろった。あとは感性のみ
 MacのユーザがOffice 98を使うと何が起きるのか?「創造的なことができるから」という理由でマシンを買った人が多いので、当然同じビジネスソフトで作った書類も、Windowsのユーザのものに比べて凝ったデザイン、色使い、レイアウトになるだろう。あくまでもクリエーティブ指向なのがMacユーザの特徴だ。ビジネスだけでなく、グラフィック、DTP、Webパブリッシングの分野でもマルチ対応が進んでいる。ホームページ作成に使われるHTMLなどがその代表例だ。Macユーザの武器は「感性」。「本当にOfficeで作ったの?」と言わせるような書類作りをエンジョイしてみよう。

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