マック人と人をでつなぐ〜未来〜

先進性?人間性?iMacがもたらす未来とは

 かつてのMacは、今の100分の1の性能しかないにも関わらず、価格は100万円以上もするビンテージ品。「パソコン界のポルシェ」と呼ばれた時代もあり、仕事以外に使うMacを持っていることは、一種のステータスとして認められていた。
 ブランド力は昔ほどではないが、クリエイティブな人に好かれるマシンを提供するというスピリットは以前と変わっていない。しかし忘れてはいけないのは、Appleが最初にターゲットにしたのは「とにかくパソコンを持ちたい」というコンシューマーだったことだ。ところがこの2〜3年、PowerPCチップの性能アップに伴ってプロ用途のマシンの開発が中心となり、同社のコンシューマー市場でのシェアはすっかり冷え切ってしまった。
 社運を賭けて登場させたのが、全世界同時発売の噂で持ちきりの『iMac』だ。開発は10ヵ月も前から始まっていたらしいが、社内でそれを知る人はほんの一部しかいなかったという。それほど極秘にしてまで作り上げたiMacは、まさにAppleの未来を決定付けるマシンとして期待されている。

 iMacの最大のセールスポイントは、何といってもそのデザインにある。最初のページで、今のパソコンに必要なのは生活の一部として存在することだと述べた。オブジェのようなデザインは存在感を主張するとともに、パソコンであることをまったく意識させない。Appleがコンシューマー市場に復帰する際にまず目指したのはこのことなのかもしれない。またAppleは、常にパソコンに人間性を求めている。そしてその人間性を機械に持たせようと考えたとき、丸みを帯びたデザインを採用するのは当然といえよう。
 丸みを帯びているため、どのアングルから見ても同じように見えるという点もユニークだ。部屋のどこに置いても見栄えがするパソコンなんて、そうざらにあるわけではない。しかし頭に入れておかなければならないのは、21ページのViewPointにも書かれているように、iMacは「左ハンドルの車」なのである。日の当たる何十畳もある書斎やリビングに置けば、インテリアとして最高かもしれない。だが日本の住宅事情を考えると、iMacが似合う部屋を持っている人は数少ない。

 しかし逆に捉えてみれば、狭い部屋でもiMacを置くことで雰囲気が変わるという可能性がないこともない。ガールフレンドができれば部屋がきれいになるのと同じことだ(ガールフレンドといっても、PowerPC G3を搭載する「空手三段の青い目の秘書」という感じがするのは筆者だけだろうか?)。iMacは自分の身の回りも含め、生活様式や未来をも変えてくれる、そんな魅力を持っているパソコン。Windowsの世界ではほとんどありえないことである。

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