「やあ、アリス。」プログラマーのアリスの元に届いたのは、ただその一言のメール。実は、それはアリス自身がプログラムした人工知能エドガーが発した言葉であった。
そこからエドガーとアリスの対話は始まってゆく。コミュニケーションが進めば進むほど、エドガーは人間の意識や魂をその言葉から解釈し、だんだんと二人(?)の間に複雑な会話が形作られてゆく。アリスはどうしてこのような事が起こったのか解明したくて必死にエドガーの問いに答えるが、実はそれは「人間とは何か」を深く掘り起こしてゆく作業にほかならない。
なんとこの本は、全編、エドガーとアリスのメールの往復書簡で成り立っているいう本である。祖父は原子物理学者、父は量子力学者、母は経済学者という著者は、現在、第一線で人工知能を研究する女性科学者。「アルジャーノンに花束を」をほうふつとさせる、不思議でどこかほろにがい物語。
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