米国時間の10月5日(日本では10月6日)、Apple Computer主催のSpecial Apple Eventと題された新製品発表会に於いて、既にインターネット上などでKiheiというコードネームで噂に上っていた新iMacのラインナップがお披露目された(日本でも早くも翌7日からアップルコンピュータのホームページに、価格なども含め掲載されている)。スペックや、メモリ増設などの容易さも含めた本体デザインの改良に加え、価格設定の面でもまさに「すばらしきコンシューマ機」と呼べるマシンといえるかもしれない。

コストパフォーマンスに優れた3つのラインナップが登場
 iMacは、昨年10月に登場したいわゆるボンダイブルーモデル(Rev.A)以来、その直後に若干のマイナーチェンジが施されたRev.Bモデル、また今年1月にはCPUなどのスペックがグレードアップされ、ボンダイブルー以外の5色のボディカラー(ブルーベリー、グレープ、タンジェリン、ライム、ストロベリーのいわゆるiCandyカラー)が用意されたモデルがリリースされるなど、既に2回のモデルチェンジが行われている。むろん、いずれのモデルチェンジも大きなものではなく、言ってみれば、iMacは初登場の際のインパクトでもってこの1年間を乗り切ったといってもいいだろう。製品の鮮度がすぐに落ちるパソコン産業にあっては大したものだといってよい。
 そしてついに、第二世代iMacと呼ぶべきモデルチェンジがこの10月、発表されたわけだが、まず前提として述べておきたいのは、新iMacも家庭や教育機関での利用をターゲットとしたコンシューマ/ホビーマシンであるという点。その上で、ユーザの目的や指向に応じて、スペックとボディカラーで分けられる3つのラインナップを設け、それぞれコストパフォーマンスの高い値付を行っているというところが、新iMacのポイントだといえそうだ。
目玉はFireWire搭載モデルiMacがついに拡張性を身に着けた
 たとえば旧来通りただの“iMac”と呼ばれるモデルは、基本的にはこれまでのiMacと同様の位置付けだろう。基本スペック的には、CPUが350MHzのG3プロセッサにグレードアップされ、標準搭載メモリが64MBに増え、さらにiBookで既にお馴染みのAirPortへの対応くらいが新味だから、一見した限りではユーザにとってみれば、“より速くなったiMac”といった程度の驚きしかないかもしれない。とはいえグラフィックアクセラレータは、以下に述べる2モデル同様、メモリ8MB搭載のATI RAGE 128 VRにグレードアップされ、2D/3Dの表示が高速化されているなど、パフォーマンスの高さは大きな魅力ではあるが。
 むしろ今回の(スペック的な意味での)目玉は、ついにFireWireを搭載したiMac DV、iMac DV Special Editionの登場である。名前に“DV”の文字をぶら下げている通り、コンシューマ/ホビーユーザにもFireWire(IEEE1934インターフェイス)を介したデジタルビデオ取り込み/ノンリニア編集を楽しんでもらおうというのが主な コンセプトなわけで、実際ノンリニア編集ソフト(iMovie)まで付属しているが(外部モニタを利用できるビデオミラーリングにも対応)、FireWireの使い途はむろんデジタルビデオだけではない。FireWire自体は、単に取り回しとデータ転送速度が向上した周辺機器インターフェイスに過ぎないわけだから、たとえばハードディスクやスキャナといった外部機器の接続環境が、USBしか持たないiMacに比べ、格段に向上したというわけだ。
 ちなみに搭載ハードディスクは、ハードディスクの消費が大きいデジタルビデオ編集を意識して、10GB(DVモデル)、13GB(DV Special Editionモデル)という大容量。またCPUはG3の400MHzとコンシューマ/ホビーマシンとしては贅沢過ぎるともいえる仕様だし、メモリもDVモデルは新iMac同様64MBだが、DV Special Editionモデルに至っては128MBという大盤振る舞いだ(加えてDVモデルは、CD-ROMに代わってDVD-ROMを搭載している)。
 初代以降、iMacはどちらかというと、実力よりデザインや旧来の外部機器接続インターフェイスを一新したといった全体的な目新しさのほうが勝っていたように思うが、今回のDV、DV Special Editionに至って、はじめてiMacは実用性の上でも、同種のWindowsマシンを凌ぐ存在となったといっても言い過ぎではないだろう。新iMacが11万8000円、DVモデルが14万8000円、DV Special Editionモデルが17万8000円という 非常に野心的な価格設定も、そうした見方を裏付けてくれる。


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