プロジェクトごとに、まるで違う会社のような作業現場を見学する。
そしてマジック発見。

 ゲームの制作は、デザイナー、プログラマー、ディレクター、サウンドクリ エーターといった構成のチームで行われる。ここでは、プロジェクトごとに 一つのブースを作って、チームの構成員を全員そこに入れるという方法が 採られている。そのせいか、広いフロアの中に、いくつもの別の会社があるように見える。ある場所は、整然と片づいた空間で黙々と作業が行われ、ある場所では、沢山のフィギュアが並べられて いたり、その隣には、ストリート系のファッションの人たちが雑然とした机で作業していたり。「大事なのはキャスティングです。その企画をホントに具現化できるいいスタッフが一人いればできるじゃないで すか。そういう、キーマンを僕は考えますよね。例えばクレイジータクシーね。あれは、リアルなシミュレーションじゃないですよね。それを、ただ単にリアルな表現を するのが美徳だと考えているクリエーター に任せたら、あのゲームはできない。そういうことなんですよ。」

 そんな話をしながら、窓は暗幕で閉ざ され(秘密保守のため)、いくつもの別会社が入っているようなフロアを歩いて行くと、その一角に、ズラリとグラファイトのG4マックが並んだブースを発見した。「7、8年前までは、マックをメインに使って開発してきたんですよ。グラフィックツールは、当時、マックが一番優れてたから。デザ イナーはずっとマックでした。今でもその流れで、マック信者っていうのが開発にもいるんですよ。今でも、グラフィックは マックで作ってるデザイナーもいるし、 このブースも、いつも誰かが作業してるんですよ。」

 それぞれのブースが、それぞれの雰囲気を持って開発が進められている。しかし、最低でも1年、長ければ2年は続くというゲームの開発中は、洗面器に顔を突っ込んでいるような状態で、常に苦しいと小口 さんは言う。

 「最後、業務用だとしたら、ロケーション テストというのがあって、量産化する前の8割完成といった段階で、ゲームセンターに、ふっと置いて様子を見るんです。その時に、みんなが喜んでくれる顔を見るのが一番 嬉しい。コンシューマだったら、メールとか、BBSとか、そういうので反応見て。で、 いいっていわれるのが一番楽しい。」

 そう言いながら、まだ未発表のゲームを、自分でプレイして見せてくれる。その ゲームのカッコ良さ、面白さに盛り上がる隊員達。しかし、一番楽しそうなのは、 真剣にプレイしている小口さん本人だ。 「自分自身が遊びが大好きだから。何の ために仕事してるかというと、遊ぶために仕事してるんですよ。だから、ジャンル 問わず、プラットホーム問わず、いろんな所で、ヒットメーカーという名前で、遊びを提示していきたい。携帯電話機もそう だし、ひょっとしたら水商売というか、 バーなんかに置いてもらうようなカジノ ゲームやピンボールゲームなんかに進出 してもいいかなと。」

 遊びを作るための膨大な作業と苦労。 でも、でき上がったものを本当に楽しめる。開発中の、苦しいはずのスタッフが、それでも楽しそうに見えるのは、そんな「遊び」の楽しさを、よく知っているからなのだ ろう。これからは、いつも以上に気合い 入れて遊ぼう、そんなことを考えながら、探検隊一同はセガのビルを後にした。 みんな楽しそうだった。

ext by:中野本朝

ダービーオーナーズクラブのみなさんと
ダービーオーナーズクラブのみなさんと
ずらりと並んだマックも活躍している
ずらりと並んだマックも活躍している
ピンボールは小口さんの原点とも言えそうだ
ピンボールは小口さんの原点とも言えそうだ

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