「設計」というと、まず思い浮かぶのはCADですが。

 CADも使いたかったんですが、大学がCADを入れてくれなかったんで、仕方なくIllustratorを 設計にも使ってました(笑)。CADは大学を出て最初に勤めた一級建築士事務所で覚えましたが、まあいずれにせよ、ちょうど広い意味でのコン ピュータグラフィックの黎明期に、いろいろな ソフトを使った作業を経験したのは、今ものすごく活きていると実感しています。

深津さんのお仕事を拝見すると、平面のいわゆるグラフィックデザインから、立体のプロダクトデザインまで幅広いですが、そうした経験が役立ったということですね?

 そうですね。最初に勤めた建築事務所では、設計よりパース作成やプレゼンテーション用の写真合成のような作業も多かったですから、コンピュータで行える視覚表現のノウハウに関し ては、自然となんでもこなせるようになった。 それで、たとえばグラフィックデザインの仕事 でも、例えば3D CADの図面をモチーフに使ったような、グラフィック専門のデザイナーでは 請けられないような仕事もいただくことが多いんです。最近はちょっと、器用貧乏になり過ぎかな、とも思っていますが(笑)。  どんな仕事でもこなしてやろう、という意気込みというか、快感のようなものもあったんですが、最近はもう少し、自分ならではのアイデンティ ティを模索したいとも感じています。

最後に、深津さんにとってのコンピュータグラフィックやMacintoshの魅力についてお聞かせください。

 私にとって、コンピュータは、あくまでデザインの道具ですね。たとえば立体のデザインだっ たら、伝統的にはモックアップを作るとかいろんな作業があるわけですが、3D CGを使えば実際に製品を作る側にも、よりラフ段階での正確な イメージを伝えることができるとか、あるいは思い通りの線が引けるとか、そういう道具としての 魅力が、自分にとっては最も大きい。そういう 意味では、Macintoshを使わなければならない 必然性というのは今はないんですが、やはり自分の周囲がみなMacintosh環境というのと、これまでの経験から使い慣れた道具になっていると いうのが、Macintoshを使い続けている大きな 理由ですね。プロダクトデザインにも携わる者としては、最近のG4 Cubeなど、Apple Computerのデザインや製品のパッケージングにはやはり刺激を受けることが少なくないです。  あと、将来的には、自分のデザイン環境である コンピュータを簡単に持ち運べるようになったり、遠隔地からでも容量の重いグラフィックデータを気軽に送れるような通信インフラが整ってくると、非常に嬉しいですね。ひとつの場所に縛られない自由さというのも、やはりデザインの「発想の自由さ」につながると思います。

ありがとうございました。