リンククラブ探検隊


大勢のスタッフが協力し いい舞台を作る
 クリプトニウムのホームページでこれまで手掛けたコンサートを見てみると、かなり 「ビッグ」な日本人アーティストのものばかり。クリプトニウムの創立は1991年で、戸塚氏はアルバイトスタッフとして働いていた同業他社から独立したとのことだが、「私の場合はたまたま、会社でお付き合いのあったアー ティストのほとんどを、独立したあとも引き継ぐことができた。その点では、ラッキー だったかもしれませんね」。
 また戸塚氏は、独立当初、「機材を持たずに、舞台のデザインやプランニングだけで勝負したい」と考えていたが、やはり仕事を多く手掛けるうちに、それなりの機材や設備、また デザイナーなどのスタッフも必要になってきた。新しく興した会社としては、そうした投資や人的ネットワーク作りもなかなか大変なのが一般的だが、クリプトニウムの場合は「そういう苦労も、仲間同士の横のつながりで乗り越えることができたので、それほど大変だと思うことはありませんでしたね」。
 想像するに、戸塚氏とクリプトニウムがとても信頼できる存在だったからこそ、こうした幸福な展開があったのだろうが、実際、 ひとつのコンサートのステージを作るにあたり、多くの関係者と協力しなければならないこの仕事にあって、実にいい関係を築き上げて いるという(余談になるが、クリプトニウムのホームページで販売されているTシャツも、「いろんな人たちとコラボレートして面白い ものを作りたい」という戸塚氏の発想から 始まったものだとの由)。
 唯一の苦労は、「スタッフ全員で、アーティストとお客さんが満足してくれるいいものを作るためには、ときには誰かがスケジュール面や予算面で無理をしなければならない。 それが辛いですね」ということだが、そうは いっても戸塚氏の口ぶりからは、その苦労 よりも「いいものを作る喜び」がひしひしと 感じられた。

MISIAの舞台製作の現場で プロの姿勢に感激
 さて、今回我々探検隊が伺ったのは、千葉県は袖ヶ浦にある、シミズ舞台工芸(株)千葉スタジオ。クリプトニウムは、折しも11月23日から始まるMISIAの全国ツアー「THE TOUR OF MISIA 2001」のステージ電飾を担当しており、舞台セットを担当するシミズ舞台工芸の作業場に詰めているという次第だ。
 生まれて始めて、ビッグアーティストの、 しかも11トントラック20台にも及ぶ資材や機材が注ぎ込まれた舞台の製作途中の現場に立ち会った探検隊員2名は、最初は両名とも「MISIAが立つ舞台に立てるなんて...」と感激の様子だったが、片や音楽プロデューサーの卵、片や空間演出を学ぶ美大生だけあって、 戸塚氏への質問も次第に熱を帯び、微に入り細に入ったものになって来た。以下、探検 隊員と戸塚氏の、現場を見学しながらの質疑応答を採録してみよう。

探:今回の舞台セットのテーマはなんですか?
戸:ネオクラシック、ですね。白と黒を基調にした舞台で。詳しくはお話できませんが、MISIAの歌と連動してちょっと感動していただける仕掛けも、いくつかありますよ。ぜひ 実際に、ステージを見に来ていただきたいですね。
探:舞台のバックに、ブラインドがありますが...
戸:あのブラインドも、曲に応じて閉じたり開いたり、あるいは白一色になったり黒一色になったりするんですよ。ブラインドの後ろに、これはクリプトニウムの担当ですけど蛍光管が仕込んであって、ブラインドが開くと光が 漏れて来る、という仕掛けですね。
探:電飾の仕掛けでの、一番の見所は?
戸:床に仕込んだ電球ですね。ほら(と、ここで電飾用の制御卓を操作して、舞台床の電球を点していただいた)、特に蹴込み(段差の部分の前面)のところがきれいでしょ?
探:おお、すごい(一同感激)

 あと、今回のセットデザインを担当した デザイナーである新井由香子氏も現場にいらしたのだが、探検隊員が「今度のステージの出来栄は、100点満点中何点でしたか」と 訊ねると、「もちろん、100点に決まってますよ。プロなんだから」。このお答えには、未来の クリエイターを目指す探検隊員2名とも、 「プロ」の仕事に対する姿勢に感じ入っていた様子だった。

これまで電飾を手掛けたコンサートは、
クリプトニウムのホームページで紹介されている
これまで電飾を手掛けたコンサートは、 クリプトニウムのホームページで紹介されている

ビッグアーティストの立つ舞台に立って
感激する探検隊員たち
ビッグアーティストの立つ舞台に立って 感激する探検隊員たち

舞台の電飾を制御するコンソール
プログラミングによる自動制御も可能だとのこと
舞台の電飾を制御するコンソール プログラミングによる自動制御も可能だとのこと



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