リンククラブ探検隊

Tetsutaro
Design編
熱くなるPowerbookの底面に設置して、発熱を抑えてくれるツール“INTERCOOLER GTX”は、Powerbookのヘビーユーザにはもはやお馴染みのツール。個性的なデザインながら、Powerbookを載せればキーボードを打つのにちょうどよい角度を保ってくれて、発熱も防いでくれる。正に縁の下の力持ち的なツールだ。今回探検隊がお邪魔したのは、その「GTX」をデザインしたプロダクトデザイナー中林鉄太郎氏の事務所「Tetsutaro Design」。プロダクトデザインという普段見られない仕事の現場を、じっくり見せていただいた。

 今回探検隊が訪問したのは、プロダクトデザイナー中林鉄太郎氏の事務所「Tetsutaro Design」。中林氏は桑沢デザイン研究所在学中に、仲間と「自転車デザインコンペティション」に出品(代表:山下健介)、一等賞を受賞した時に審査委員長をしていた建築家 黒川雅之氏の元に、自転車と、その後に作成した車イスの写真の二枚だけを持って弟子入りを志願。黒川氏の事務所で建築部門を経て、最終的にはプロダクトデザイン部門のチーフを勤めた。
「97年に、10年経ったんで、じゃあそろそろということで辞めさせてもらって現在の事務所を構えました。だから、同じ年くらいでフリーになっている人たちとくらべると、フリー歴が非常に浅いんですよ。」
という中林氏だが、黒川事務所で培った人脈や信用もあり、大きなものはユニットの住宅デザインや、小さいものならインテリア小物まで、幅広い領域で活躍中だ。
「ただ、これは私が手掛けました、という形では発表できないものも多いんですよ。プロダクトのデザインというのは、基本デザインと、実施(詳細)デザイン、デザイン管理と大雑把に3段階くらいの仕事があるのですが、最初の基本デザイン、つまりアイデアを具体的な形にまとめるという仕事が、去年はすごく多かったんです。携帯電話とか一体型のコンピュータのデザインとかですね。そういう仕事は、最終的には物にならなくても、提案した先でネタにはなるわけですよね。そういう提案が続くと、仕事はしたけれど守秘義務があるので、発表できないんです。」
プロダクトデザインという仕事
 プロダクトデザインは、使わなければならない素材があったり、発注者側の都合があったりして、何もかもを自由に行なえるわけではないという。その一方で、例えば実用品であれば、それを見ただけで使い方が分かるように作る、つまりモノが持つコミュニケーション能力も重要になる。全体のデザインから、細部の構造まで考えてモノを作っていくことが好きなのだそうだ。単にデザイン画を描いてエンジニアに渡すというような仕事では、フラストレーションが溜まるらしい。
「前に、まだ黒川事務所にいた時に、海に潜るときの背中に背負う新しいシステムの潜水具の仕事をしたんです。こういうのは、かなり珍しい仕事なんですけど、そのときには自分も金型メーカーに行ったり、ここの曲面はこうじゃないって、金型のもとになるマスターを自身で手直ししたこともあります。そういう製造のことも考えなきゃいけないし、材料や組立てのことも考えなきゃいけない。もちろん、マーケティングや、見た時の存在感のことも重要で、それらを行ったりきたりしながらデザインを進めていくんです。だから製品の企画の最初から、 デザインも含めて話しに参加して作っていくという仕事が、一番やりがいがあります。」

プロダクトデザイナーの中林鉄太郎氏。
今回お話を伺った、プロダクトデザイナーの中林鉄太郎氏。氏の詳しいプロフィールや、氏が考案した新しいMacなどはホームページで見られる

今回の探検隊員は二名。
今回の探検隊員は二名。どちらの方も、Powerbookユーザというだけあって、INTERCOOLERの話は特に熱心に聞き入っていた。

INTERCOOLER GTXを見せていただく。
INTERCOOLER GTXを見せていただく。さまざまなカラーリングのモデルや、ファンが2つあるタイプ、USBハブが付いたタイプなど、バリエーションも豊富だ



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