今回探検隊が訪問したのは、プロダクトデザイナー中林鉄太郎氏の事務所「Tetsutaro Design」。中林氏は桑沢デザイン研究所在学中に、仲間と「自転車デザインコンペティション」に出品(代表:山下健介)、一等賞を受賞した時に審査委員長をしていた建築家 黒川雅之氏の元に、自転車と、その後に作成した車イスの写真の二枚だけを持って弟子入りを志願。黒川氏の事務所で建築部門を経て、最終的にはプロダクトデザイン部門のチーフを勤めた。
「97年に、10年経ったんで、じゃあそろそろということで辞めさせてもらって現在の事務所を構えました。だから、同じ年くらいでフリーになっている人たちとくらべると、フリー歴が非常に浅いんですよ。」
という中林氏だが、黒川事務所で培った人脈や信用もあり、大きなものはユニットの住宅デザインや、小さいものならインテリア小物まで、幅広い領域で活躍中だ。
「ただ、これは私が手掛けました、という形では発表できないものも多いんですよ。プロダクトのデザインというのは、基本デザインと、実施(詳細)デザイン、デザイン管理と大雑把に3段階くらいの仕事があるのですが、最初の基本デザイン、つまりアイデアを具体的な形にまとめるという仕事が、去年はすごく多かったんです。携帯電話とか一体型のコンピュータのデザインとかですね。そういう仕事は、最終的には物にならなくても、提案した先でネタにはなるわけですよね。そういう提案が続くと、仕事はしたけれど守秘義務があるので、発表できないんです。」