____「Zoogunzoo」(ズーガンズー)とは、どんな意味の言葉なんでしょうか。

 これはエチオピアの古い歴史書に出てくる魚の名前で、飢餓に瀕した人々を自分の身を捧げて救ったという伝説があるんです。ちょうど美味しい魚料理を提供するレストランを作りたいな、と思っていたので、この名前を借りたというわけです。

____オーストラリアワインの専門店、というのも、珍しいですね。

 そうですね。日本ではフランスやイタリア、ドイツのワインに比べると、まだそれほどメジャーではないようです。ただ、オーストラリアワインは一言で いえば「Full Flavor, Easy Drinking」、つまりワインの味わいを完璧に備えていながら、気軽に飲めるんですね。またバリエーションもかなり豊富ですし、これから日本でも人気が出るんじゃないかな、と思っています。特に「Zoogunzoo」では、北陸で獲れた魚料理が中心ですから、それに合うよう軽めからやや重めくらいの範囲の中で、白ワインの豊富なバリエーションを楽しんでいただけるよう、もちろん自分で試飲して、チョイスしています。

___そもそも、レストランをはじめたきっかけは?

 大学を出て入った会社を辞めてからいろんな仕事を体験したんですが、その中で「絵が描けるコンピュータ」という点に興味を持ってMacと出会って、デザイナーという仕事に就いた。会社にいた頃は設計が仕事でしたから、どちらかというと自分と向き合う仕事が中心だったわけですが、まあその反動というのか、人を相手にする、人に楽しんでもらうということを、なにかやりたくなったんです。そんなとき、デザインやイベントの仕事で知り合った人たちの中に飲食業界の方がいて、その方の導きで1年限定で原宿に店を出してみたんです。それが面白くなって、今度は料理やワインのセレクトはもちろん、内装などのコンセプトも自分で手掛ける店を持ってみたいな、と思ったのがきっかけですね。で、金沢の出身なので北陸の美味しい魚を中心に、ちょうどそのとき興味を持ち始めたオーストラリアワインを供する店を作ったというわけです。

___内装も、かなり個性的ですね。

 内装は、これは偶然出会った方なんですが、やはり金沢を拠点に活動している家具デザイナーの方にお願いしました。コンセプトが固まるまでに結構時間がかかり、実際の作業は特急でお願いすることになってしまったんですが(笑)、自然素材を活かした無国籍で、しかも和める空間、というイメージは、完璧に実現されたと思っています。自分も仕事の後にボーっと店に佇んでみたりしますよ。和むんだなあこれが。(笑)あと、壁は粘土を使った土壁なんですが、そのせいかBGMや話声が無駄に反響しないので、お客さま同士会話がしやすいみたいで、これは嬉しい発見でした。
 あとBGMも、J-WAVEなどで活躍している選曲家の方にお願いして、この店独自の選曲を楽しんでいただけるようにしています。それと曲と曲の間の無音状態で会話の雰囲気が壊れてしまわないよう、BGMとは別に虫の音や波の音などの自然音のSEも、幽かに流してるんですよ。

___ホームページでその日の魚がなにかわかったり、予約ができるというのも面白いですね。

 インターネットの可能性には早くから注目していましたけど、店を出すに当って、いたずらに広告をたくさん出すよりも、本当にこの店を楽しんでいただけるのはインターネットで自分の楽しみたい店を探すような、意識の高いお客様なのではないかと思い、ホームページの充実には気を配りました。実際店をオープンしてみると、予想以上に 「ホームページを見て来た」という方が多かったですね。中にはニューヨークからわざわざいらしてくださった方もいて、驚くやら嬉しいやらです。

___最後に、石黒さんにとってのMacの魅力について、お聞かせください。

 最初に出会ったときは、鉛筆や消しゴムといった道具に近いような人間的な感覚とか、インタフェースのできのよさに感心しましたね。それは使い始めてから9年経つ今でも、変わりません。

___ありがとうございました。


zoogunzoo店内写真 奥青山 UNDERGROUND Mr.ZOOGUNZOO 「ZOOGUNZOO」のホームページ
「Zoogunzoo」のホームページ
http://www.unitedf.com/zoogunzoo/

店のコンセプトや中の様子、メニューなどが掲載されているのに加え、
その日入荷した魚がリアルタイムでわかるのも楽しい。
また前日までなら、ホームページ上から予約することも可能だ。