リンククラブ探検隊

buildup編
惑星をかたどったような、球型のチョコの中に潜む、謎の宇宙人と、彼らが乗ってきたと思われる円盤。グレイのようなメジャーなものから、見たこともないような新たな宇宙人まで、さまざまな謎を秘めた食玩「チョコベーダー」が人気を呼んでいる。今回の探検は、その「チョコベーダー」を企画・プロデュースした株式会社ビルドアップ。CGから造形、映像、アミューズメントと、幅広くビジュアルを手掛ける、正にクリエイティブの現場では、どのような仕事が進行しているのだろう。
ビルドアップHP
株式会社 ビルドアップ
http://www.buildup.co.jp

「最高にカッコイイ作品を創れ!」という言葉を旗印に、ビジュアル・エンターテインメントを創造する会社、それが、今回、探検隊が訪れた株式会社ビルドアップ。代表の岡部暢哉氏は、18歳で映画の特殊メイクや造形の仕事に携わり、20歳で映画「帝都物語」に参加.。さまざまな映画でクリーチャー造形などを行なう傍ら、「ロボコップ」の版権を買ってソフトビニール製フィギュアを製作するなど、幅広く活躍。平成元年にビルドアップを設立した。 「僕の場合は、現状の社会の中で、あることをするには、会社という形態が必要なことが多いので会社を作ったんです。別に会社を作りたかったのではなくて、例えば、大手映画会社では法人の口座がないと仕事が受けられないとか、そういうことが色々あるんです」  岡部氏の言葉通り、この会社は、会社という枠組みでは捉えきれない柔軟な仕事への取り組みが行われているようだ。
クリエイティブなこだわりを
実現できる場を作る
 現在の業務内容は、コマーシャル、ゲーム、アミューズメントパークといったメディアでのプロジェクト開発やデジタル映像作成、特撮などの造形製作、アミューズメントパーク用の造形や映像の製作といったところが中心だという。ただし、それも、ビルドアップ側から、こういうのができますよ、といった営業をするのではなく、来る仕事に対応しながら拡げていったものらしい。
「初めての種類の仕事でも、1回やると、2度目は必ず来るんです。普通、100円もらったら、100円分の仕事しかしないじゃないですか。一般的には、80円分くらいの仕事をして、20円は利益として貰っておくとか。でもビルドアップでは、120円とか130円分やっちゃうんですよ。ただ、損はしないように、例えば必要な機材をどこかからタダで貰ってきたりして、最後に帳尻が合えばOKだから、というような感じで仕事を仕上げていくんです。だから、お客さんにしてみれば、いつも頼んでいる所より良いものができてくる。『こんなのがいいと思うんですけど』とか『これをなしにして、こっちどうですか』という提案を常に行なっているのも良かったと思うんですけどね」
 という岡部氏の考え方は、クリエイティブなジャンルの仕事をする人間の基本。さらに、岡部氏は言う。
「凝った作り方を突き詰めていくと、最後には、時間と金がないということになっちゃうんですよ。例えば、時間と金があれば凝ったものを作れるやつと、作れないやつがいたとして、作れないやつに、時間とお金をいっぱい与えたら、場合によってはそっちが勝っちゃうこともあるんです。そこにさらに、外注に対しての仕事の振り方や、管理の仕方などを上手くやれば、結果的には、そっちの方がいいものを作れるでしょう。大切なのは結果だから、いくら僕が全部作ったんだって言っても、それが小さな公民館でしか上映されないような映画だったら、しようがないじゃないですか。だから、お金の調達から、時間の管理までも行なった上でしか、クリエイティブのこだわりが出せる場は作れないんです。その辺はやらなければならない事だと、自分を納得させて勉強していく。作りたいモノを作れる環境を作るのも、クリエイティブな仕事の重要なポイントなんですよ」
 納得がいく仕事を行なって、なおかつ金銭や時間の部分での帳尻を合わせる。クリエーターだからこそ、お金の話もできなければならない。よく考えれば当たり前のことなのだが、それを実践している人の口からその言葉が出ると、不思議に新鮮な説得力がある。
アミューズメント施設用の造形で
感じたライブ感
 さまざまな業務を行なうビルドアップだけに、その仕事はそれぞれに苦労が絶えない。
「例えば映像用の造形物などは、フィルムが回っているときだけ動いていればOKなんです。そういう仕事が多かったんですが、映像が下火になってきた時に、アミューズメントの仕事が出てきたんです。ディズニーランドの出現から、 アミューズメント業界が、従来以上のクオリティーを求め始め、若いセンスを求め始めていたんですね。こちらからの営業とかではなくて、多方から打診されまして。それから、アミューズメント関連の仕事も手掛けるようになったんです。でも遊園地というのは、毎日朝から晩まで動かすわけですから、今日動いても、明日止まっちゃったら怒られるわけですよ。本当は映画のクリーチャーのように、ワイヤーで動くものを作れれば、それが一番カッコいいんだけど、遊園地では、撮影している時だけ動いていればいいっていうわけにはいかないから、それなりの強度が必要なんです。その上、消防法とか、安全確認とか、操作スイッチを職員の方が扱いやすいものにするとか、そういった苦労が色々ありました。ただ、仕事が終わって、実際にオープンすると、映像を作っているときよりもライブ感があるわけですよ。自分達が作った施設にいって、ワーッと盛り上がっているお客さんを見ると、やったなあという感触があって」
 現在はアミューズメントパーク用の造形や映像も、ビルドアップのメイン業務となっているが、その最初には、さまざまな試行錯誤があったというわけだ。でも、そんな苦労は、仕事の一つ一つに当たり前にあるものだそうだ。

ビルドアップ代表の岡部暢哉氏
ビルドアップ代表の岡部暢哉氏は、まだ36歳という若さだが、この仕事を始めて18年になるベテラン。シャイな語り口が印象的だ。

今回の隊員は、クリエイティブな作業への関心は並々ならぬものがあった。
今回の隊員は、かたやイラストレーター、もう一人は劇団員ということで、クリエイティブな作業への関心は並々ならぬものがあった。

熱心に質問をぶつけていく。
岡部氏の幅広い活躍ぶりと、無から有を作るという作業の面白さに刺激された隊員たちは、熱心に質問をぶつけていく。


チョコベーダーのデザイン画
これが、チョコベーダーのデザイン画だ。このデザインを元に、実際に作ってみてバランスなどを調整して、実際の造形作業に入ることになる。

チョコベーダーの製品を作っている中国の工場

チョコベーダーの製品を作っている中国の工場
チョコベーダーの製品を作っている中国の工場。

チョコベーダーの製品を作っている中国の工場
最近の食玩のほとんどは中国で作られているせいか、造形技術の向上も目覚ましい。

チョコベーダーの製品版
チョコベーダーの製品版。箱はワーナーブラザーズのアニメデザイナーが手掛けている。



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