キーボードという装置は、いうまでもなく、コンピューティングやコンピュータネットワークを介したコミュニケーションの本質ではない。しかし、われわれは、ほぼ画一化されたキーボードしか与えられていないのが現状だ。たとえば、机に固定された姿勢で10本の指を駆使するという形でない、なにか別の入力方式は考えられないのだろうか―といった疑問へのひとつの回答が、 東京大学工学研究科、安心工学設計研究室でとある学生の卒業論文のモチーフとして開発された、「tagtype」(http://www.lleedd.com/tagtype/)というかな入力方式/装置である。その「tagtype」を考案した学生―現在はリーディング・エッジ・デザインに勤務する田川欣哉氏にお話を伺いつつ、キーボードというコンピュータとわれわれを結ぶ接点について、考えてみた。

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田川欣哉さん(たがわ・きんや)
_「tagtype」開発者

1998年から99年にかけて、東京大学工学研究科、安心工学設計研究室の田中正人教授の指導のもと、日本語入力方式「tagtype」を発案。これを卒業論文のテーマとし、1999年同校工学部機械情報工学科を卒業後、渡英。英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アートとインペリアルカレッジのジョイントコースであるインダストリアル・デザイン・エンジニアリング修士課程に在籍。
2001年に帰国後、リーディング・エッジ・デザインに入社し、現在「tagtype」の応用開発、普及に努める。

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