村松亮太郎氏は、現在ネイキッドという会社で主にデジタルによる映像制作や映像デザインを行っている。テレビドラマのタイトルバックやTVCFなどで、知らず知らずにネイキッド制作の作品を見ている方も多いはずだ。さらに自らシナリオを書き、ディレクションする作品も制作。それらで得たノウハウや情報を、次世代のクリエーターに伝えるためのデジタルシネマポータルサイト「Nizoo」や、インディペンデント映像レーベルをたち上げている。そんなデジタルによる映像制作の最先端を走る村松氏に、Macと映像制作についてお話をうかがった。
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村松さんは、役者から映像制作へと転身されたそうですが、その際に映像ツールとしてMacを選んだのには、どのような理由があったのでしょうか。
「僕がこの仕事を始めたのは5年ほど前なんですが、当時、編集スタジオを作るのに、いくらかかるのって聞いたら「2億円」って言われて、それは無理だと。何か手がないかと思ったところに、ノンリニア編集というのを知ったんです。それでMacを導入したんですが、その時にMacを選んだ一番の理由というのは、QuickTimeという技術が素晴らしいと思ったからなんです。裏方に徹した地味な存在だけど、映像を総合的に扱う凄い技術なんですよ。汎用性も高くて、その選択は今でも間違っていないと思います。それでPower Macintosh 9500とMedia100、それにハードディスクを16GB分購入しました。このハードディスクが価格的に厳しくて、当時90万円くらいしましたね。全体では300万円くらいですか。でもこれだけで編集スタジオが持てるというのが良かったんです。ソフト的にはAfter Effectsが面白くて、それまで時間軸に沿って編集するという横軸一本だったのが、映像にレイヤーという概念を導入して、縦軸でも編集できるというのが物凄く新しかったんです。それから当時Mac版が出たばかりのLightWaveを触って、CGと映像の融合という方向も面白いと。でも、そういう変な入り方してるから、実はIllustratorなんて未だに詳しくないんですよ」
ディレクターとしての村松さんは、デジタルによる映像制作を、どういう風に捉えられているのでしょうか? ![]() デジタルシネマのポータルサイト「Nizoo」と映像レーベルを起ち上げられたんですよね。
「デジタル映像の業界って、非常に機材が高かったこともあって凄く閉鎖的なんです。それがイヤで、Nizooに関してはその環境と情報をオープンにしていきたいという狙いがあるんですよ。デジタル映像の世界は本当に情報がなくて、僕自身が全部手探りで、独学でやってきて凄い苦労したんですよ。だから次の世代の人の情報の入り口になるサイトになれば素敵だなと。レーベルの方は、音楽で言うインディーズレーベルと同じように考えていただければいいと思います。とりあえず、うちで今、3本のショートフィルムを作っていて、それが第一弾になるんですが、徐々にオープンにしていくつもりです。つまり自分の作品制作だけではなく、出資とかプロデュースとかそういう形でも、映像を送りだして行こうと考えているんです。それらを通して、「インディペンデント」で映像をやるということは、どういうことなのか、を追及していけるといいな、と思っています」
ありがとうございました。 ※1 HD(High Deffinition):放送用ビデオの高品位規格。SHDはその拡張型。
text by : 石上 耕平
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