観光の楽しみ、そして次の旅へ!

“のこのこ出かける”の逆パターンで“居ながらにして”ってのもあるよね。美術館、博物館、つまりミュージアムというもの。いろんなものをごっそり集めましたからここにくるだけで○○(歴史、アート、科学技術なんでも代入可)がぜーんぶわかりますよ、というお得な施設。パリにルーブル美術館がありロンドンに大英博物館があり、温泉地に「○×文学館」があるように、観光地には必ずミュージアムがあるのも象徴的。出かけていったはいいが何をしたらいいか途方に暮れた観光客に、とりあえず「貴重なものを見た」と思わせるおもてなし。  ルーブルには行ってみたもののやたらデカくて疲れた……そういや、あたし美術って興味ないのよね。さびれた観光地のさびれた博物館、暗くて埃くさい展示にますます気分は落ち込む――これじゃ観光の哀しみがつのるばかりだけど、工夫のあるミュージアムに当たったら新しい発見がゲットできて楽しいもの。ミュージアムという閉じられた空間に人工的に集められたサンプルは、実は私たちの日常とかすかに地続きになっている。ミュージアムを出て歩き出した時に「志賀直哉もここを散歩したのか〜」とか「さっきの美術館で見た絵の教会はここだ!」なんて発見しちゃったら得した気分。限られた展示から、日常を新しい“目”や“耳”で体験するネタを頂戴する……近所の市営博物館からデカイところでは万博、考えてみればインターネットのWebだって“ネタ帳”と言えなくはない。  ネットは回線を切ってから、ミュージアムは出口を出てから、旅行は帰ってきてからが本当のお楽しみなのかもしれない。旅先で撮ったデジカメ写真を眺めつつ「これはホームページにのせよう」とか「年賀状はこれで決まり!」なんて考えてる時、貴方は幸せじゃない? 自分が行った国にまつわるエッセイや小説を帰ってきてから読むのも楽しい。そんな時、私たちは現地でいかにつまんなかったか哀しかったか、あるいは辛かったかすら忘れ、観光の思い出はどんどん美しく再構成されていく。そうしてまた、凝りもせずのこのこと出かけていくんだ。

ロンリープラネット オンライン
www.lonelyplanet.com

日本人なら「地球の歩き方」だが、英語圏の人なら「Lonely Planet」がお約束のガイドブック。 サイトの方も大充実でパッキングのTipsまで指南してくれる。 ニュースやイベントカレンダーもグローバル。ヘタな日本語ガイドより役立つかもね


ルーブル美術館
オフィシャル・サイト
www.louvre.or.jp

ミュージアムのサイトは数々あれど、老舗で横綱はやっぱルーブル。収蔵品の解説の他、 なぜか資生堂提供のヴァーチャルツアーコーナーもあり、まさに“居ながらにして”観光できるサイト